今日において、読書はしばしば推奨されています。たとえば、教育現場では、生徒に読書が勧められています。子どもに読書してほしいと思う親御さんも多いようです。
しかし、あなたは「読書はよいもの」だと思い込んでいませんか?そうであるとしたら、なぜ読書は役に立つと思っているのでしょうか。自分の経験によってでしょうか、それとも、世間でそう言われているからでしょうか。
あなたの経験あるいは世間の評判は、読書が役立つことの根拠になると本当にいえるのでしょうか?ショーペンハウアーの『読書について』は、まさにこの点について再考し、吟味するよう、あなたをいざなう良書です。
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ショーペンハウアーの『読書について』とはなにか
著者はどんな人?
ショーペンハウアーは19世紀のドイツで活躍した哲学者です。裕福な家庭に生まれ、父の大きな財産を相続したため、働いて生計を立てる必要がありませんでした。成人してからは、在野の学者として生涯のほとんどを送りました。読書と著述は彼のライフワークでした。
ショーペンハウアーの思想は厭世主義やペシミストと評されています。ニーチェなどの哲学者に大きな影響を与えたことで知られています。
常識的な考えにたいするショーペンハウアーの警句は、示唆に富むものと考えられてきました。働く必要がなかったために、世間への鋭い批判を展開しやすかったということもあるでしょう。『読書について』もその一つといえます。
本書の内容
内容を少し紹介しましょう。ショーペンハウアーは次のように述べています。
私たちが本を読むとき、誰かが私たちのために考えています。 それは、字を習うときに、教師が鉛筆で書いた筆跡を自分のペンで書き写す生徒のようなものです。
したがって、読書をするとき、私たちは考えるという作業の大半を奪われることになります。 本を読むことは、他人の思考によって私達の心が占められるということです。
よって、読書ばかりしている人は、ほとんど常に自分の心を他人の考えによって占められています。これが続くと、次第に自分の頭で考える力を失っていきます。
さらに、次第に心が麻痺してきます。バネが物で圧迫され続けると弾力を失うように、心も他人の考えに圧迫され続けると弾力を失ってしまうのです。
私達は栄養をとるために食べ物を食べます。食べたものは消化されなければ栄養になりません。しかし、多くの栄養をとろうとして、あまりに多くの食べ物を食べると、胃腸が弱まり、消化不良となります。
同様のことが読書でも起こります。読書による精神的な詰め込みが心を絞め殺してしまうのです。
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このように、ショーペンハウアーは読書の危険性を指摘します。読書は人から思考力を奪って馬鹿にし、無気力な人間にしかねないのです。自分や周囲の人を見回してみて、思い当たるふしはありませんか?
あなたが勧める読書によって、あなたの子どもや生徒がそのようになってしまったら?あなた自身もそのようが害を受けてきたとしたら?そのままでよいでしょうか?
ショーペンハウアーは読書のそれ以外の問題をも指摘しています。同時に、もちろん、読書を活かすための方法をも提案しています。上述のように、読書は彼自身のライフワークでしたから。
それらの点を知り、自らの問題として対処するためには、本書を実際に読んでみるようおすすめします。
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