『レースのあと』はアイルランドの小説家ジェームズ・ジョイスの短編小説。1014年に短編集『ダブリン市民』のなかで公刊された。
ジェイムズ・ジョイスの『レースのあと』(After the race)のあらすじ
物語の舞台はアイルランドである。車のレースが行われており、ダブリンがゴールである。観客は車がレース車が通るたびに歓声を上げる。当に、青色のフランス人の車を応援する声が大きい。フランス人はこのレースで2位と3位をとった。
このレースには、。ジミー・ドイルら4人が一つのチームとして参加していた。ジミーはアイルランド人であり、父親が地元で精肉店のチェーンで大成功し、裕福で有名である。
ジミーの大学時代の友人のフランス人、シャルル・セグワンがこのレース車の所有者である。セグワンは自動車会社を起業しようとしている。このレースのおかげで、ジミーの父親から融資を受けることができ、喜んでいる。
ほかに、セグワンのいとこのリヴィエールも乗っていた。彼はその自動車会社で働くつもりであるので、同様に融資獲得に喜んでいる。四人目はハンガリー人のピアニストのヴィローナである。
ジミーは26歳の青年である。イギリスの大学で学んだ後、ダブリン大学に進学した。ケンブリッジ大学に短期留学した。そこでセグアンと出会った。
成績はよくなかったが、社交に力を注いできた。
ジミーはこの国際色豊かなチームで好成績を収めたことを喜んでいる。とはいえ、ジミー自身は車の知識がないので、セグワンたちの操縦技術についてはよくわかっていない。このカーレースでのスリルに熱狂し、楽しんでいる。自分の地元でそのような活躍をしているところを地元民にみられ、脚光を浴びたことを誇りに思っている。
また、自分が裕福だと自覚しており、セグワンの自動車会社への投資には強い関心を抱いている。
一行は勝利の宴のために、ダブリンに戻る。しっかりとしたレストランでのディナーであるため、それぞれが正装をして、再び集まる。
ディナーでは、ケンブリッジ時代のセグワンの知り合いだったイギリス人、ラウスが加わる。ディナーはおいしく、彼らの会話は弾む。
音楽や車、そして政治に話題がうつっていく。イギリスとアイルランドの関係について、ラウスとジミーが議論を戦わせる。あまりには白熱したので、セグワンが割って入る。
夕食後、彼らは散歩する。リヴィエールのアメリカ人の知り合いファーリーに出会う。彼らは誘われて、ファーリーのヨットに向かう。ヨットでは、ヴィローナはキャビンでピアノを弾き始め、皆が踊り始め、酒を飲む。
ジミー、ラウス、リヴィエール、セグワン、ファーリーはトランプを始める。酒を飲みながら、金をかけて遊ぶ。酔いがどんどん回ってくる。掛け金があがっていく。
ジミーは自分が負けていることに気づいており、早くゲームが終わってほしいと望む。ようやく終わる。ラウスが照射となり、ジミーとファーリーがもっとも負ける。
ジミーは大負けしたことに公開しながら、酒で気分が悪くなっていく。テーブルに突っ伏す。だが、これからの自分の人生には光を感じており、降伏を感じている。ヴィローナがドアを開け、朝がきたと告げる。