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シェイクスピアの『終わりよければすべてよし』:諦めきれない「妻」の物語

『終わりよければすべてよし』はイギリスの代表的な劇作家シェイクスピアの作品。身分違いの望まぬ結婚を押し付けられた貴族の男。結婚を嫌がり、フィレンツェに逃げる。どうにか結婚したい女がとった行動とは・・・。

シェイクスピアの『終わりよければすべてよし』(All’s Well That Ends Well )のあらすじ

 舞台はフランスから始まる。フランスのルシオンでは、若い貴族バートラムがフランス王の宮廷に向かう。彼の一家には、ヘレンという若い娘がともに暮らしている。ヘレンは亡き高名な医者の娘である。
 ヘレンはバートラムに恋をしている。だが、身分が違うので、その恋は成就しそうにない。ある日、チャンスがやってくる。フランス王が病に倒れた。様々な医者がそれを治癒しようとするが、失敗する。
 ヘレンは高名な医者の娘ということで、その治療を試みるのを許可される。ヘレンは王の治療に成功する。王は褒美として、好きな男性と結婚してよいといい、結婚のための指輪を与える。ヘレンは喜んで、バートラムを選ぶ。
 バートラムは自分が選ばれたことに驚く。平民出身のヘレンと結婚したいとは思わない。だが、王の命令なので、仕方なく結婚する。とはいえ、ヘレンとの結婚には我慢できない。
 そこで、バートラムは、フランスを脱し、フィレンツェに向かう。そこで戦争に参加するのだ。 ヘレンはフランスの宮廷からルシオンの邸宅にもどる。
 バートラムがヘレン宛に手紙を送る。そこではこう書かれている。彼女との結婚を本当に認めるには、ヘレンがバートラムの先祖代々の指輪をはめて、バートラムの子供を妊娠する必要がある、と。バートラムは結婚したくなかったので、無理難題をヘレンに押し付けたのだ。
 ヘレンは手紙を読んで困惑する。だが、バートラムを諦めなかった。ヘレンは巡礼者に扮して、ウィレンツェへと彼の後を追う。


 フィレンツェでは、バートラムはダイアナという娘を気に入り、アプローチをかける。そこにヘレンが到着し、バートラムのその行動を目撃する。その後、ヘレンはダイアナと仲良くなり、事情を説明する。
 ヘレンはバートラムが提示した無理難題を実現すべく、ダイアナの協力してもらう。二人はバートラムを騙すことにする。まず、ダイアナはバートラムの誘いを受け入れるふりをする。
 夜、バートラムがダイアナの暗い部屋を訪れる。そこに待っていたのは、ダイアナではなくヘレンだった。だが、バートラムは相手がヘレンだと気づかず、愛の印として、指輪を交換する。
 ヘレンはバートラムから上述の指輪を受け取る。さらに情事におよび、ヘレンは彼の子供を妊娠する。こうして、指輪と妊娠という条件が整う。
 バートラムはフランスに戻る。ヘレンとダイアナもこっそりとフランスに移る。
 ルシオンでは、ヘレンが死んだと思われていた。バートラムは別の女性との結婚をすすめる。王がルシオンを訪れる。
 バートラムはその女性に指輪を渡す。その指輪はフィレンツェでヘレンと交換して得たものである。これはさらに、ヘレンがバートラムの結婚のために王からもらっていた上述の指輪である。そのことに、周囲が気づく。どこからそれを得たと問われるが、バートラムは困惑するだけで答えられない。
 そこに、ダイアナがやってくる。バートラムがヘレンだと気づかずにヘレンに渡していた先祖代々の指輪を示しながら、バートラムがダイアナを捨てたと訴える。バートラムは慌ててそれを否定する。だが、上述の女性との結婚話は台無しになる。
 事態が混乱する中で、ヘレンがダイアナの証人としてやってくる。ダイアナはバートラムの先祖代々の指輪をヘレンから受け取ったと認める。ヘレンはその指輪をつけ、そして、彼の子供を妊娠している。
 条件が揃った。ヘレンはバートラムにそう告げる。バートラムはついにあきらめ、ヘレンに詫びて、赦しを求める。
 王はダイアナの苦労をねぎらう。望む男性と結婚させてやるという。こうして、物語は終わる。

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シェイクスピア『終わりよければすべてよし』松岡 和子訳、筑摩書房、2021年

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