『赤毛のアン』はルーシー・モード・モンゴメリーの小説。1908年に公刊された。続編もある。世界的に有名となり、舞台やテレビの作品にもなった。孤児の活発な少女アンの田舎町での成長が描かれる。この記事では、あらすじを紹介する(結末までのネタバレあり)。
『赤毛のアン』(Anne of Green Gables)のあらすじ
物語の舞台はカナダのアボンリーという町である。マシュー・カスバートとマリラ・カスバートの兄妹が農場を経営している。二人はもう還暦近くである。マシューは心臓病を患っている。そのため、新たな若い働き手を欲している。そこで、孤児院から男の子を受け入れようと決め、孤児院に依頼する。
6月、マシューはその孤児を引き取るべく、駅に向かう。そこにいたのは、男の子ではなく、11歳の少女の孤児だった。孤児院はアン・シャーリーという少女を間違えて送ったのだった。
マシューは困惑する。だが、女の子の快活でおしゃべりな様子に心を開く。マシューは女の子の期待にこたえて、農場に連れ帰る。
マシューとマリラはアンと話をする。アンは手違いで派遣されたことを知り、孤児院に送り返されることを危惧する。マシューたちはアンのこれまでの話を聞き、アンの世話をしてやりたいと思う。そこで、アンを引き取ることにする。アンは大喜びする。この新しい故郷グリーン・ゲイブルズの自然の美しさが気に入る。
アンはそれまで十分な教育やしつけを受けてこなかった。そのため、当初は新たな農場生活で慌ただしい日々を送る。空想とおしゃべりが好きで、マシューらをよく楽しませる。だが、家事などをさぼったり、いたずらをすることがよくあり、叱られる。それでも、アンはマシュー家の欠かせない存在となる。
アンは赤毛の少女であり、赤毛がコンプレックスだった。それを近隣の女性にからかわれて、激怒したこともある。マリラなどから、社会での適切な振る舞い方をしつけられる。
孤児院にいた頃、アンは親しい友人がほしいと思った。だが、孤児院という環境では、つくれなかった。アンは新しい環境に慣れ始めて、親友をつくりたいとおもう。アンは隣の農場のダイアナ・バリーという少女と知り合い、夏休みに仲良くなる。
秋になり、アンはアボンリー学校に通う。同じクラスには、ギルバート・ブライスというハンサムで優秀が男の子がいる。ある日、ギルバートはアンをニンジンと呼び、赤毛をからかう。アンは激怒し、石板をギルバートの頭に叩きつける。これが大問題となる。二人の関係は最悪の状態からスタートする。
ある日、学生たちが一緒に遅刻する。アンがその責任をとらされ、席をギルバートの隣にされる。アンは先生を恨み、学校にいかなくなる。
アンはダイアナを自宅に呼んで、お茶を飲もうとする。だが、間違って、ワインをダイアナに飲ませてしまう。ダイアナの母はアンを悪い子だと思い、ダイアナにアンとの絶交を強いる。
アンはダイアナと会えないのがつらい。そのため、ダイアナに会うべく、学校に再び通うことにする。学校で勉強に打ち込み、成績がよくなっていく。ギルアートと勉強上のライバルになる。
冬になり、大人たちが不在のときに、ダイアナの妹が病気になる。アンはその対処法を知っていたので、妹の命を救う。ダイアナの母はアンを見直し、ダイアナとの交流を許可する。アンとダイアナは再び親友として一緒に森や農場で遊ぶ。
新たに、ステイシー先生がアボンリー学校にやってくる。前任の先生と異なり、アンに学才を見出し、あたたかく支援する。アンはそれまで以上に、勉強に打ち込む。アンは活発に活動し、友達の輪も広がっていく。
ギルバートとは相変わらずライバル関係である。だが、池で溺れかけたところを助けてもらってからは、その距離は近づく。それでも、二人の関係はまだぎこちない。また、赤毛へのコンプレックスもまだ残っている。
ステイシー先生はクイーンズ・アカデミーへの入学のための選抜グループをつくり、アンをそこに入れる。アンはますます勉強に熱心になる。ギルバートとともに、最優秀の成績をとるほどになる。
アンはクイーンズ・アカデミーに入学するために、故郷を離れることになる。マシューとマリラはアンの成長を喜びながら、別れを悲しむ。
アンはクイーンズ・アカデミーの一年目でも優秀な成績を収める。さらなる勉学のために、奨学金を獲得するのに成功する。これで、4年制の大学に通うことができるようになる。前途洋々の中で、アンは誇らしげに、故郷に一時的に戻ってくる。
だが、アンが実家に戻ってまもなく、マシューが持病の心臓病で急逝する。しかも、マリラは医師の診察を受け、目の治療をしなければ、半年以内に失明すると告げられる。
アンは自分の将来について思い悩む。このまま大学に通って将来の道を広げるべきか。それとも、これまで世話をしてくれたマリラの世話をするために、実家にとどまるか。
アンは後者を選ぶ。奨学金を辞退し、大学進学をやめる。実家でマニラの世話をしながら、近隣の学校で教師の働き口を探し始める。
この頃、ギルバートはアボンリー学校での教師の職を得ていた。だが、アンの事情を知り、その職を辞退する。アンがこの母校での教師になる。
ある日、アンはマシューの墓参りをする。嘉永道、ギルバートとばったり会う。アンは彼に、母校の職を譲ってくれたことについて、はにかみながらお礼を言う。出会った頃からの二人の冷たかった関係は、ライバル関係に発展し、ここにきて、心温かいものに至る。
アンは将来への希望を感じながら、実家に帰っていく。
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