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クロード・ベルナール:生理学の基礎づけ

 クロード・ベルナールは19世紀フランスの生理学者(1813-78)。消化の研究で肝臓や膵臓の働きを明らかにした。また、実験における仮説の重要性を説いたり、恒常性(ホメオスタシス)の現象を明らかにするなど、様々な貢献を行った。その影響は自然科学だけでなく、これからみていくように、あの有名なフランス文学の巨匠にもみられた。

目次

クロード・ベルナール(Claude Bernard)の生涯

 クロード・ベルナールはフランスのサンジュリアンで農家の家庭に生まれた。父はブドウ栽培を手掛けていたが、失敗した。そのため、ベルナールは貧困の中で育ち、イエズス会系の学校で学んだ。10代後半で薬剤師見習いとして働き始めた。

 そのかたわら、ベルナールは文学にも興味をいだいていたため、劇作家の道を志した。1834年、自作原稿を持参してパリに移り、評論家ジラルダンにみせた。ジラルダンはこれを読んで、ベルナールに劇作ではなく医学の道を勧めた。

 学者としての開花:グリコーゲンの発見

 そこで、ベルナールはパリの医学学校に入った。1840年オテル・ディユー(市立病院)とコレージュ・ド・フランスにおいて、著名な医師のマジャンティに師事するようになった。1843年、医学博士になった。

 1846年から、ベルナールは学才を開花させていった。消化において膵臓が脂肪を分解することを明らかにした。さらに、それまで消化が主に胃で行われると考えられていたのにたいし、小腸で行われることを示した。これらの消化に関する研究以外にも、神経に関する研究で成果をあげていった。

 ベルナールは徐々に名声を確立した。その結果、1854年、パリ大学が一般生理学の講座を新設し、ベルナールをその教授に選んだ。
 さらに、科学アカデミーへの入会を認められた。1855年には、師のマジャンティの後任として、コレージュ・ド・フランスの教授となった。1856年には、肝臓のグリコーゲンを発見し、その役割を明らかにした。

 『実験医学序説』での恒常性や内部環境と方法論的革新

 さらに、ベルナールは血管拡縮のメカニズムなどについても研究した。その結果、ホメオスタシス(恒常性)の概念を生み出すことになる。すなわち、身体の外部環境がどのように変化しようとも、血圧などの内部環境を一定に維持するような身体の現象である。

 1860年、ベルナールは病がひどくなり、実験室で作業するのが困難になっていた。その代わりに、医学の方法論について考察を深めるようになった。
 それまでの医学においては、実験を行う前に、検証すべき仮説をあらかじめ設定していたわけではなかった。だが、ベルナールは仮説の重要性を訴え、実験を仮説検証の手段とみなした。
 このような立場を、1865年の『実験医学序説』で提示し、成功を収めた。実験で化学薬品を利用したのも新しかった。

 本書では、ほかにも、生理学研究に関する様々な提言を行った。たとえば、生理学は生体解剖を必要とすることや、化学や物理学の理論に基づくべきことなどである。よって、生命の仕組みは自然法則のもとで決定論的に理解されるべきと訴えた。
 本書は自然科学の発展において大きな貢献を行うことになる。それのみならず、エミール・ゾラなどの文学にも大きな影響を与える。代表作の『ナナ』などの一連の著作の根底にその影響が指摘されている。

 晩年

 本書の前年、1864年、当時のフランス皇帝だったナポレオン3世にベルナールは謁した。そこで、自然史博物館にベルナールのポストが与えられることになり、ベルナールは1868年にこの教授職についた。

 同時に、『実験医学序説』の功績により、フランス・アカデミーへの入会を認められた。1869年には、貴族院の議員に選ばれた。ベルナールは自然科学者以外の著名な人物とも交流を持ち、たとえば宗教学者のエルネスト・ルナンなどと交流をもった。自然科学者としては、細菌学者のパスツールなどと交流をもった。

 1877年、病没した。

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●ベルナールの『実験医学序説』に大きな影響を受けた巨匠。ベルナールとほぼ同じ時代のフランスを生きた。代表作の『ナナ』などの一連の著作の根底にその影響が指摘されている。

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クロード・ベルナールの肖像

クロード・ベルナール 利用条件はウェブサイトにて

おすすめ参考文献

ジャン・ルイ・フォール『クロード・ベルナール』三浦岱栄訳, シャムハトプレス, 2005

鈴木郁子『生理学をめぐる旅 : 研究を紡いだ若者たち』中外医学社, 2023

Pierre Debray-Ritzen, Claude Bernard : ou un nouvel état de l’humaine raison, Albin Michel, 1992

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