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ベティ・フリーダンの『女らしさの神話』

 ベティ・フリーダンの『女らしさの神話』は現代のフェミニズム主義の思想や運動において古典的著作の一つとして認知されています。本書によって、フリーダンは1960年代ー1970 年代の女性の権利運動の主要なリーダーの一人となったほどでした。この記事では、この著作について紹介していきます。

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ベティ・フリーダンの『女らしさの神話』とは

著者はどんな人?

 ベティ・フリーダンは1921年、アメリカ合衆国でロシア系移民の子供として生まれました。スミス大学で心理学を学び、1942年に首席で卒業しました。当初は、心理学者になるべく、大学院に進みました。
 この時期、アメリカが第二次世界大戦に突入していきます。フリーダンは大学院を離れ、政治に関心を深め、記者になりました。労働問題に関心を深め、社会主義に好意的になっていきます。
 1947 年、フリーダンは結婚しました。1956年までに、3人の子供をうみます。その間も、働き続けました。
 1956年、一家はニューヨーク州の郊外に移り、フリーダンは主婦になりました。女性誌のフリーランスのライターとして仕事を行うこともありました。
 この時期から、フリーダンは『女性らしさの神話』につながる研究を始めます。 5年間かけて、全国の女性にインタビューを行い、女性たちの意識のあり方を調査しました。
 それらの成果をまとめたのが、1963年に公刊した『女性らしさの神話』です。

『女性らしさの神話』の内容

 ここでは、その内容の一部を紹介します。
 フリーダンはアメリカの女性たちの意識調査によって、白人中流女性の意識がどのよう変わったかを示そうとしました
 フリーダンによれば、1920年代ー1930年代、女性たちは自立したキャリア志向でした。自分たちで稼いで、自分の足で立つ。
 戦後、女性たちは家庭内の主婦として夫や子供の役に立つことが求められるようになりました。妻や母の役割を求められるようになったのです。
 フリーダンが調査によって気づいたのは、多くの女性がこの理想的な女性像に満足していないということでした。フリーダン自身も当然そうでした。
家庭という「居心地の良い収容所」から抜け出て,自身の発展や自己実現を目指すべきだ、と。
 しかし、社会は女性に女性らしさの神話を押し付けます。組織的な仕方でそれを押し付け、そこから脱するのを難しくしています。
 では具体的に、社会はどのような仕方でこのような性的差別を制度化してきたのでしょうか。社会による体系的な抑圧によって、女性たちはどのような問題を抱えているのでしょうか。これらの問題をどのようにして乗り越えるべきなのでしょうか。それは実際に本書を読んで確かめてみてください。

本書の意義や影響

 本書はアメリカの白人中流女性の気持ちを代弁しているとして、すぐにベストセラーとなりました。本書は1960年代以降の第二次フェミニズム運動に大きな影響を与えました。
 第二次フェミニズム運動は、たとえば中絶の権利を成果として勝ち取ったとされてきました。しかし、トランプ政権のもと、中絶の権利をめぐる最高裁の判断が揺らぐなどして、中絶の権利は再び大きな争点となっています。
 フェミニズムのみならず、女性の権利や境遇は今日もなお不安定であり、大きな争点であり続けています。女性の権利や解放の運動は現在進行形の問題です。
 本書はこのような流れにおいて、現代フェミニズムの一つの源泉として、今日も重要であり続けています。
 「女性は家庭内で妻や母としてふるまっていればよい」という考えに問題を感じる方や、この考えがなぜ少しずつ変わってきたのかを知りたい方には、本書を一度しっかりと読んでみることをおすすめします。
 日本ではようやく文庫本の邦訳がでましたので、手軽に読めるようになったところです。

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おすすめ参考文献

フリーダン『女らしさの神話』荻野 美穂訳, 岩波書店, 2024

https://www.womenshistory.org/education-resources/biographies/betty-friedan

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