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イプセンの『ヘッダ・ガブラー』とは:しがない学者の端くれと結婚した美しい娘の物語

 『ヘッダ・カプラー』はノルウェーの代表的な劇作家イプセンの作品。

イプセンの『ヘッダ・ガブラー』(Hedda Gabler)のあらすじ
 

 美しいヘッダ・ガブラーは経済的に苦しい学者ヨルゲン・テスマンと結婚した。半年の新婚旅行をへて、テスマンの自宅に帰ってきた。旅行中に、ヘッダは妊娠した。だが、ヘッダはヨルゲンとの結婚生活に満足していなかった。
 ヨルゲンはおばのジュリアに育てられてきた。現在も経済的に支援を受けている。ジュリアが彼の家を訪れる。テスマンが近いうちに教授職を得られるに違いないと話し合う。そうすれば、ヨルゲンは経済的にも安定するだろう。
 ヘッダはジュリアを冷遇する。ヨルゲンは態度を改めるよう求めるが、受け入れられない。
 彼らはレーヴボルグがこの町に帰ってきたことを知る。レーヴボルグはかつてヨルゲンのライバルだった人物である。酒癖が悪く、そのせいで失敗していた。だがいまはそれを克服し、学者として成功しつつある。
 その後、ヘッダの旧友のエルブステッド夫人がやってくる彼女はレーヴボルグの悪癖が再発するのではと心配している。ヘッダはヨルゲンに、彼を支援するよう促す。
 ヨルゲンが部屋を出ていくと、ヘッダはエルブステッド夫人にいろいろ質問する。彼女がかつてレーヴボルグの助手をつとめていたことを知る。夫人が立ち去る。
 次に、ブラック判事が訪ねてくる。彼はこれまでテスマン家の財政を支援してきた人物でもあり、その財政状況をよく知っている。ブラックはヨルゲンに、夜のパーティーに出席する予定になっていると思い出させる。
 さらに、ヨルゲンに悪いニュースをしらせる。ヨルゲンが求めている大学での職には、レーヴボルグも応募する見込みだ、と。教授職を彼と取り合うことになりそうだ。もし負ければ、経済的な問題が悪化するだろう。ヨルゲンは交際費を切り詰めるようヘッダにいう。
 日が暮れる。ブラックは再びヨルゲンの家を尋ねるが、ヨルゲンは不在だ。ヘッダが応接する。ヘッダは結婚生活への不満をブラックに語る。ブラックはヘッダとより親密な関係になりたいとアプローチする。ヘッダは拒む。
 ヨルゲンが帰宅し、レーヴボルグがそこに訪ねてくる。彼らは話し合う。レーヴボルグは新しい本の原稿を書いており、それが自身の渾身の作品になると意気込みを語る。それはいわば自分の息子のようなものだ、と。
 また、レーヴボルグはヨルゲンにたいし、彼と教授職をめぐって争うつもりはないという。ヨルゲンはこれで大いに安心する。レーヴボルグは酒をすすめられるが、断る。レーヴボルグはヘッダと二人きりで話す。10代の頃、二人が恋人関係になりそうだったことを思い出し、語り合う。
 エルヴステッド夫人がやってきて、レーヴボルグとヘッダの席に加わる。ヘッダはレーヴボルグに酒をすすめるが、彼は断る。夫人はレーヴボルグが飲酒を再開し、また酒に溺れるのではないかと不安を抱いている。そのことをヘッダがレーヴボルグに教える。
 レーヴボルグは夫人にこの点で信用されていないことに傷つき、酒を飲み始める。レーヴボルグやブラックらはパーティーに出発する。
 夜明け頃、エルブステッド夫人はレーヴボルグの帰りを待っている。ヘッダは起きてきて、それに気づき、彼女に休むよう促す。ヨルゲンが帰って来る。
 ヘッダは昨晩の様子を彼に尋ねる。ヨルゲンはエルブステッドが酒にずいぶん酔っていたことを話す。しかも、彼の大切な原稿を道端に落としたともいう。ヨルゲンはたまたまそれを見つけ、持ち帰ってきた。すぐにこれを彼に返したいという。だが、おばのリナが危篤状態なので、原稿をヘッダに預けて、まずはそちらに向かう。
 ブラック判事がやってくる。昨晩、レーヴボルグが酒に酔って娼婦と問題を起こし、駆けつけた景観を殴ったので連行されたと教える。酒癖の問題が相削したのだ。ブラックは立ち去る。
 レーヴボルグがやってくる。待っていたエルブステッド夫人にたいし、例の原稿を破り捨てたと告げる。夫人はショックで、立ち去る。
 レーヴボルグはヘッダと二人きりになる。本当は原稿をなくしたのだ、もはや生きる希望がない、自殺したいとヘッダに告げる。ヘッダはその原稿を持っているということを彼に教えない。それどころか、美しく死ぬのがいいと彼に勧める。そのために、自宅にあったピストルを渡す。
 レーヴボルグは意気消沈したまま、立ち去る。一人になったヘッダは、例の原稿を暖炉で燃やす。
 時が経つ。ヨルゲンの危篤状態だった叔母がなくなり、一同が喪に服している。ヨルゲンは例の原稿が燃やされたことを知らず、はやくそれを返したいという。ヘッダは燃やしたことを打ち明ける。ヨルゲンは動揺し、怒る。だが、ヘッダはこれをヨルゲンのためにしたのだといい、ヨルゲンは困惑する。
 そこに、エルヴステッド夫人がやって来て、レーヴボルグが入院していると告げる。ブラックがやって来て、レーヴボルグは胸を負傷してすでに亡くなっていると告げる。みなが悲しむ中、ヘッダだけは彼の自殺は称賛に値すると述べる。
 ヨルゲンはいまやレーヴボルグの傑作(原稿)が永遠に失われてしまったといい、罪悪感に苦しむ。だが、エルブステッド夫人は原稿のメモが残っているといい、まだ希望があるという。二人はメモをもとに、原稿を再構成することを約束する。
 ブラックはヘッダにだけ、こう告げる。レーヴボルグは自殺ではなく他殺だったようだ、と。ヘッダは思い描いていた展開と異なり、つまらなく感じる。
 さらに、ブラックはこう続ける。使用されたピストルがヘッダのものだと別れば、ヘッダはスキャンダルの渦中に置かれるだろう。だが、心配ない。自分がこれを口外しない限り。ブラックは暗に、ヘッダとの不倫関係を提案する。
 ヘッダはいろんなことに耐えられなくなる。一人で別の部屋に移り、ピアノを奏でる。その後、ピストルで自殺する。

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