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カフカの『審判』のあらすじ

 『審判』は、チェコの代表的な作家フランツ・カフカの代表作の一つ。1910年代に執筆され、1925年に出版された。第一次世界大戦の時代において、官僚制度や全体主義への批判と関連付けて理解されてきた。この記事では、あらすじを紹介する。

『審判』のあらすじ

 主人公はヨーゼフ・Kという優秀な銀行員である。Kが30歳になる朝、見知らぬ二人の男が彼の下宿先を訪れる。彼らはKを逮捕しに来たと言う。彼らはKを彼の隣人の部屋に連れていく。
 そこで、彼らはKの容疑を説明することなく、Kが逮捕されたという。だが、投獄されることなく、これまで通りの生活を送ってよいともいう。二人は立ち去る。Kはなにも悪いことをしていなかったので、突然の逮捕に困惑する。Kはいつもどおり銀行に出勤する。
 次の日、最初の裁判が日曜日に行われると知らされる。裁判の場所は知らされたが、出廷時間走らされなかった。
 日曜日、Kは指定された住所に向かう。そこには、アパートがあった。裁判はアパートの中で行われていた。Kがどうにかそこにたどり着くと、判事から遅刻だと責められる。
 Kはそれまでの自分自身への扱いや制度について不満を表明し、抗議する。たとえば、誕生日の朝の自宅での出来事などについて苦情を申し立てた。
 この抗議が部屋の向こう側の騒ぎで中断される。K は憤慨してその場を去ろうとする。判事はKにいう。Kが裁判への参加を拒否することは、Kの裁判に不利にはたらく、と。Kは立ち去る。
 実際に、裁判への召喚状はKに届かなくなる。だが、次の日曜日、Kは裁判が行われるものだと考え、アパートに向かう。だが、裁判の日ではないことを知る。
 Kはアパートで裁判所の案内係の妻に会う。裁判所の事務局に案内してもらう。だが、そこは息苦しい屋根裏部屋にあり、Kは体調を崩しそうになる。そこから立ち去る。

 数日後、Kは仕事から帰ろうとしていた。銀行の倉庫から音がするのを聞き、中をのぞいてみた。すると、見慣れた二人の男が別の男に鞭打たれていた。二人の男はKの自宅を訪れた二人だった。
 上述のように、Kは裁判所でこれら二人の男の対応について苦情を申し立てていた。そのため、彼らは鞭打たれていた。Kは倉庫の扉を閉めて、立ち去る。
 Kの叔父が裁判について知り、心配になってKを訪ねてくる。叔父は友人の弁護士のフルドをKに紹介しようとする。
 二人はフルトを訪問する。フルトは心臓病で寝込んでいた。だが、フルトはKの案件を引き受けようとして、裁判や法制度の説明をする。部屋の暗がりには裁判所の主任書記官が佇んでいた。Kは彼に気づかなかった。途中から彼が会話に参加してきて、Kを驚かす。
 フルトの女中がKを別の部屋に誘い出し、誘惑する。Kは彼女と話す。彼女はKが自分自身の裁判の原因となった罪を認めなければならないという。
 Kと叔父はフルトの家を出る。叔父はKが裁判にあまりに無関心であり、フルトの家での言動にも問題があると叱責する。

 しばらく時が経つ。K は裁判が気になり、次第に仕事が手につかなくなってくる。フルトに弁護を任せているが、進捗がわからないのである。
 ある日、Kは銀行の顧客から、法廷画家のティトレリを紹介される。Kはディトレリに相談する。
 ディトレリは裁判の内情を知っている。ディトレリがいうには、裁判で最終的に無実を勝ち取る例はほぼ皆無である。だが、実質的に有罪判決を避ける手段はある。
 それは仮釈放だ。これは見かけ上は無罪判決といえる。だが、これは暫定的なものでしかなく、再び起訴のプロセスが始まる可能性がある。あるいは、裁判を無期限に引き延ばし続けることだ。これには、定期的な出廷が必要となるが。
 Kは弁護士のフルトを解雇しようと決める。その際に、フルトの顧客のブロックに出会う。ブロックの訴訟がすでに5年間続いていることをKは知る。
 フルトはKに自身を解雇しないよう説得する。ブロックをもこれに巻き込もうとする。だが、Kは彼を解雇する。

 ある日、Kは仕事でイタリア人の顧客に市内を案内するよう頼まれる。大聖堂で待ち合わせたが、顧客は約束の時間に現れない。
 大聖堂の牧師がおもむろに説教壇で説教を始める。Kに呼びかける。彼は自分が刑務所の牧師であることを明かす。牧師はKがすでに有罪とみあなされていると告げる。二人は法制度に関わるような不可解な寓話について話しあう。

 Kの31歳の誕生日の前夜、見知らぬ2人の男がKの下宿先やってくる。彼らはKを町外れの採石場に連行する。そのうちの一人がナイフでKの心臓を突き刺す。Kは「犬のように扱われている!」と叫び、死ぬ。

おすすめ参考文献

カフカ『審判』辻セイ訳, 岩波書店, 1966

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