『ジョン王』はイギリスの代表的な劇作家シェイクスピアの作品。16世紀末に制作された。
シェイクスピアの『ジョン王』(King John)のあらすじ
舞台はイギリスである。ジョン王はイギリスの王である。母エレノアとともに、宮廷にいる。そこに、フランス大使がやってくる。アーサーこそイギリス王の正統な継承権をもつので、ジョン王はアーサーに王位を譲るべきだ、と大使はいう。
ジョン王はこれを拒否する。フランスは戦争をほのめかし、脅す。このように、イギリスの王位をめぐって、イギリスとフランスの間で争いが生じる。
イギリス宮廷に、フィリップ・フォルコンブリッジがやってくる。彼はジョン王の亡き兄リチャード獅子心王の私生児である。エレノアはフランスとの戦争のために、彼を軍隊に引き入れるようとする。フィリップはそれに同意し、ナイトになる。
その頃、フランスでは、フランス王フィリップ(上述のナイトのフィリップとは別人)が、イギリスとの戦争を決定する。イギリス領だったのフランスのアンジェへと進軍する。
ジョン王もまた、軍隊を率いてアンジェに到着する。両軍は互いに非難し合う。フィリップ王はアーサーのイギリス王位継承を訴える。両軍は、ジョンとアーサーのどちらがイギリス王にふさわしいかを、アンジェ市に尋ねる。アンジェ市は、正統な王がそれにふさわしいと答え、どちらかを選ぼうとしない。
両軍は戦争を開始する。互角の戦いとなる。両軍ともに勝利を宣言するが、実際には決着がつかない。アンジェ市はいまだにどちらも選ばない。両軍は協力してまず反抗的なアンジェ市を懲らしめることに同意する。
ここで、アンジェ市がこう提案する。この戦いを終わらせるための政略結婚として、ジョンの姪のブランシュとフランスの王太子ルイとの和平結婚を提案する。
その条件として、フランスは娘の持参金としてフランス国内の領土の一部をイギリスに耐えることになる。かわりに、アーサーには爵位が与えられる。両国はこの結婚に同意し、戦いが終わる。アーサーも納得する。
だが、アーサーの母は息子の王位継承に失敗したのを嘆く。上述のナイトのフィリップもまた不満であり、自身の利益のために行動しようと決意する。
ルイとブランシュの結婚式が開催される。そこに、教皇大使のパンドルフがやってくる。彼はジョン王が高位聖職者の任命にローマ教皇に従わないのを問題視する。ジョン王は教皇のような部外者の意見を聞かないと答える。
パンドルフは怒り、ジョン王を破門する。さらに、フランスのフィリップ王にたいし、ジョン王と敵対するようけしかける。
和平が成立したばかりであり、親類の結婚も成立した。それゆえフィリップ王はこれを回避しようとする。だが、フィリップ王もまた破門に処すと脅され、結局は説得される。
イギリスとフランスが再び戦争する。ジョン王の軍隊はフランス側のアーサーを捕らえる。ジョン王はフランスでの戦いを、母エレノアとナイトのフィリップに任せ、イギリスに戻る。その際に、アーサーの暗殺をひそかにヒューバートに任せる。
フランス側では、パンドルフが上述のルイにたいし、結婚したのでイギリスの王位継承権をもつはずだと言う。よって、ジョン王を打ち負かして、イギリス王になれ、と。ルイはこれに同意する。
ヒューバートはアーサーの暗殺に赴く。だが、アーサーの命乞いをうけて、殺すのをやめる。殺したことにして、アーサーに身を隠すよう促す。
その頃、ジョン王は宮廷で、今後の方針を話し合う。貴族らはアーサーの解放を求める。そのとき、フランスから、エレノアらが死んだこと、ルイがイギリスに進軍することの知らせが届く。
ヒューバートがやってきて、アーサーは死んだと嘘の報告する。貴族らが憤慨し、立ち去り、フランス軍の味方に加わる。
ジョンは事態の悪化に動揺し、ヒューバートがアーサーを殺したせいだと激怒する。ヒューバートはアーサーが生きていることを打ち明ける。そこで、ジョン王は貴族たちを引き戻すために、そのことを知らせに、ヒューバートを貴族らにえ派遣する。
ところが、その頃、アーサーが城壁から落ちて死ぬ。貴族たちはアーサーの遺体を見つけ、ジョン王の仕打ちだと思って慄く。そこに、ヒューバートがやってくる。アーサーの死を知らずに、彼が実は生きていると彼らに告げる。
貴族らはアーサーの遺体を見せ、ヒューバートを責める。ヒューバートはどうにか説得しようとするが、失敗する。貴族らはそのままフランス軍に加わる。
両軍が戦争の準備をする。ジョン王のもおtに、上述の教皇大使パンドルフがやってくる。戦争を回避したいなら、協力する。ただし、教皇の権威を認めよ、と。ジョン王はこれに同意する。
パンドルフはフランス軍のルイのもとにやってくる。ジョン王との戦いを中止するよう説得する。だが、失敗する。ナイトのフィリップがそこにやってきて、交渉しようとする。これも失敗する。
両軍の戦いが始まる。ジョン王は病で倒れ、修道院で死を待つ。フランス側についたイギリス貴族たちは自分たちが間違っていると論じ合うようになる。
その頃、ジョン王が毒殺されたという知らせが広まる。ジョン王の息子ヘンリーらがそこに駆けつけ、父の死を見届ける。
イギリス貴族は自軍に戻る。戦いは被害が大きくなるが、決着がつかない。パンドルフの和平交渉が功を奏し、フランスは戦闘の中止を決める。
イギリスでは、ヘンリーが新たな王になる。貴族らやナイトのフィリップも彼に中世を誓う。両国に平和が訪れる。