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ルイ15世:フランス絶対王政の黄昏

 ルイ15世はフランスの国王(1710 ー1774)。曽祖父のルイ14世から王権を引き継いだ。ルイ15世の時代に、啓蒙思想が発展し、ロココ美術が華やいだ。政治を寵臣に任せた。
 治世の前半では、フランスは宰相フルリーのもとで経済発展し、人口も増え、繁栄した。だが。フルリーの死後、政治は混乱していった。ついには、7年戦争などで敗北するなどして、王権は大きな痛手を受けた。彼はフランス革命の前夜に没した。

目次

ルイ15世(Louis XV)の生涯

 ルイ15世は5歳のときに、王に即位した。それゆえ、当初はオルレアン公フィリップが摂政となり、1723年までその体制が続いた。その後、ブルボン公のもと、新税の導入やプロテスタントの迫害が試みられた。その結果、統治は安定しなかった。

 寵臣による政治:フルリーの経済発展と安定

 1726年、ルイ15世の家庭教師だったフルリー枢機卿が宰相に任命され、実権を握る。様々な経済政策により、それまで困窮していた経済が回復へ上向いた。財政も均衡状態に至らせることができた。

 アメリカ大陸の金銀がフランスに流入することで、貨幣の絶対数の不足という問題が緩和された。その結果、商業が盛んになった。フランスはアメリカでの砂糖生産や奴隷の貿易などに従事し、大きな利益をあげた。

 これらの商業や金融の発展によって、一部のブルジョワジーが台頭した。彼らは大臣などの寵臣を通じて、王権の政策に影響を与えるようになった。ポンパドゥール夫人がその一例である。これにたいし、旧来の貴族層が反発し、商業ブルジョワジーと対立していく。

 農業などの生産も盛んになった。当時のフランスの人口の大半は農民だったため、フランス全体の経済が上向いた。飢饉が抑えられたことで、人口が増大した。かくして、この時期のフランスは16世紀よりも繁栄した。

 フルリー後の混乱と改革の試み

 1743年、フルリーが没した。ルイの人気は絶頂にたっし、最愛王と呼ばれるまでになった。ルイ15世が自ら統治を担うことになる。だが、ルイは怠惰で政治への意欲がなかったとされる。
 そこで、実際にはマショーなどの重臣に政治を任せた。ただし、ルイ15世はヨーロッパに諜報員を派遣して秘密外交を自ら主導しようと試みることはあった。だが、結局成功しなかった。

 ルイは多くの愛人を抱えていた。その中で、特にポンパドゥール夫人から重要な人事や政策の決定で強い影響を受けるようになった。
 ルイ15世やポンパドゥール夫人らの庇護のもと、ロココ美術が宮廷を彩った。たとえば、宮廷画家フランソワ・ブーシェなどが活躍した。

 この時期には、様々な改革が試みられた。マショーやショアズールによる財政改革や、重農主義的な提案もみられた。だが、貴族たちの強い反対にあった。

 7年戦争での敗北

 そのような対立の中での改革の試みは7年戦争(1756ー63)での敗北で頓挫することになる。フランスはこの戦争でイギリスと戦った。イギリスは強大な海洋帝国としてフランスを打ち負かした。フランスは北米とインドの植民地をイギリスに奪われた。

 かくして、フランスは主だった海外植民地を失い、イギリスの海洋帝国はさらに拡大した。ただし、西インド諸島のような重要な植民地を保持していた。
 フランスはこの戦争による経済的な疲弊も激しかった。

 晩年

 議会は引き続きしばしば王室と対立した。フランスは財政危機に陥っていく。また、ルイは宮廷での浪費や政治的失敗により、不人気になっていった。フランス革命の前夜、王の権威が低下していった。1774年、ルイは天然痘で没した。

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ルイ15世の肖像画

ルイ15世 利用条件はウェブサイトで確認

おすすめ参考文献

阿河雄二郎『近世フランス王権と周辺世界 : 王国と帝国のあいだ』刀水書房, 2021

佐藤賢一『ブルボン朝』講談社, 2019

Henri Carré, La régence et le règne de Louis XV : (1715-1774), Équateurs, 2014

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この記事を書いた人

国内の大学院を修了した歴史系の独立研究者です。

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