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フローベールの『ボヴァリー夫人』

 
『ボヴァリー夫人』はフランスの作家フローベールの小説。1857年に公刊された。フローベールの処女作でありながら、フランス近代文学の代表作の一つとして知られている。この記事では、あらすじを紹介する。

『ボヴァリー夫人』(Madame Bovary)のあらすじ

 物語はシャルル・ボヴァリーの学生時代から始まる。シャルルは不器用でおとなしく、転校先の学校になじめなかった。勉強熱心であり、医者を志す。だが、平凡な人物であり、才能には恵まれない。 彼は最初の医師試験に落ちた。その後、合格し、どうにか田舎の医師になる。
 母親は彼のことを愛している。彼を裕福な未亡人と結婚させる。

 シャルルはある男性の骨折を治療する。その美しい娘のエマに魅了される。彼の妻はまもなく、病気で没する。
 それからまもなく、シャルルはエマに求婚し、結婚する。かくして、エマがボヴァリー夫人となる。シャルルはエマを愛する。対照的に、エマはすぐにシャルルに飽きてしまう。
 エマはかつて修道院で育てられた。修道院生活に嫌気がさし、理想的な男性と結婚してバラ色の人生が送れるようになることを夢想するようになった。恋愛小説を好んで読み、そこでのロマンスに熱中した。いつかは自分も恋愛小説のような恋をしたいと思っていた。
 だが、シャルルは恋愛小説の登場人物とは程遠かった。エマはシャルルの見栄えの悪さと会話のつまらなさが悪いのだと思った。シャルルの優しい性格や愛情の深さはエマにとっては魅力ではなかった。エマはシャルルに早くも嫌気がさし、ロマンティックで優雅で洗練された生活をおくりたいと心から思うようになる。

 ボヴァリー夫妻は 裕福な貴族の華やかな舞踏会に招待され、参加する。エマはこれに触発され、ますます、優雅な生活への憧れを強めていく。その反面、現在住んでいる村の単調な生活を無味乾燥に感じる。
 その頃、エマは妊娠する。様々な要因で体調が悪化したと思われた。そこで、シャルルはエマのために土地に引っ越す。

 エマとシャルルは新たな土地で様々な人に出会う。弁護士事務所には、レオンという青年が働いている。レオンは音楽や文学を好み、恋愛小説の恋を無双している。エマはレオンと出会い、恋愛感情を抱く。
 この頃、エマはベルトという女の子を出産する。エマは男の子を望んでいたので、がっかりする。
 エマとレオンの関係が発展しそうになると、エマは妻として彼を遠ざけるようになる。レオンはこの恋が実らないと重い、諦めようとする。法律の学位を取得するためにパリに移る。エマはレオンがいなくなってしまったのを悲しむ。

 その後、エマは裕福な貴族のロドルフと出会う。ロドルフは好色な男性であり、エマを誘惑する。二人は情熱的に情事にのめりこんでいく。

ボヴァリー夫人

 エマはロドルフとの恋に熱中し、しばしば軽率な行動を取る。そのため、近隣でエマの噂話がでる。だが、シャルルはエマにたいして盲目的でるため、その情事に気づかない。
 しかも、シャルルは仕事上の大きな失敗をする。ある男性の足の病気を治療しようとして失敗し、片足を切断することになってしまった。医者としての評判に大きな傷がつく。
 エマはますますシャルルに嫌気がさし、ロドルフにのめり込む。ルルーに借金をして、ロドルフに多額の贈り物をする。借金がかさんでいく。
 エマとは対照的に、ロドルフはエマに飽き始める。エマはあいかわらず彼に熱中しているため、ベルトを連れて一緒に駆け落ちしようとロドルフに提案する。だが、ロドルフはエマと別れることを告げ、去る。エマは借金とともに、重い病気で苦しむ。

 シャルルはエマの治療などで多額の借金を背負い始める。だが、エマのために、二人はルーアンの演劇をみにいく。そこで、レオンと出会う。
 エマとレオンの慕情は再燃する。二人はついに情事に至る。エマはレオンに音楽を習いに行くという口実で、毎週のように会う。エマは再びルルーから借金を繰り返す。軽率な行動をして、噂話がでる。だが、シャルルは相変わらず情事に気づかない。エマとレオンの関係は停滞していく。

 エマの膨らんでいった借金の問題がついに破裂する。ルルーはエマが借金を払わなければ、彼女の財産を肩代わりとして没収することを、エマに通知する。エマは愕然とし、借金返済のために走り回る。レオンやロドルフ、彼女を誘惑する弁護士などから金を得ようとする。だが、全員から断られる。
 絶望したエマは薬剤師に手伝ってもらって、毒薬を入手する。それを飲んで自殺する。

 シャルルはまだ情事に気づかず、エマの死で悲しみに暮れる。だが、シャルルはエマとレオンらの恋文を見つけ、ようやく情事の事実に気づく。そのまま数日後に没する。娘のベルテは新薬のもとで育てられ、工場で働くことになる。

おすすめ参考文献

フローベール『ボヴァリー夫人』芳川 泰久訳, 新潮社, 2015

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