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アイスキュロスの『縛られたプロメテウス』

 『縛られたプロメテウス』は古代ギリシャの三大悲劇作家のアイスキュロスの代表作。制作や初演の時期は不明である。この記事では、あらすじを紹介する 。

『縛られたプロメテウス』のあらすじ

 主人公のプロメテウスが、ゼウスの召使いによって、スキタイ山へと護送される。彼らは目的地のコーカサスの岩山に到着する。召使いのクレイトスはヘパイストスにたいし、プロメテウスをこの岩山に縛りつけるよう命じる。

 これはプロメテウスの罪にたいする処罰である。クレイトスは言う。プロメテウスが火を盗みだし、人類に与えた。これが彼の罪である。プロメテウスはゼウスがどんなものであっても、受け入れなければならない。
 ヘパイストスはプロメテウスに同乗し、彼を岩山に縛り付けるのに躊躇する。プロメテウスは岩山に縛られたまま、一人でこの荒れ果てた野蛮な土地に残されることになる。ゼウスが納得するまで、プロメテウスは岩山に縛られ続ける。ヘパイストスはプロメテウスを憐れにおもう。
 これにたいし、クレイトスはプロメテウスがゼウスの敵であるので、彼に同情するのは無駄だと、ヘパイストスを諭す。プロメテウスが人間にふさわしい以上の名誉を与えたので、ゼウスに代償を払わなければならない。ヘパイストスは彼を岩山に縛り付ける。彼らはプロメテウスを遺して、その場を立ち去る。

 プロメテウスは一人で、取り残される。ゼウスによるこの苦しみをみよ、と自然に呼びかける。さらに、自分には予知の能力があり、将来を見通せるという。

 遠くから、オケアノスの娘たちが、翼のある戦車に乗ってやって来る。オケアノスはプロメテウスの友人であるためである。娘たちはプロメテウスに同情を示す。プロメテウスがなぜこのような状況になってしまったのかを知りたがっている。
 かつて、ゼウスとクロノスとタイタン族が戦っていた。プロメテウスは予知の能力をもっていたので、力ではなく狡猾さを持つ者が勝つと知っていた。そこで、プロメテウスはクロノスとタイタン族に狡猾さを用いるよう助言した。

 だが、彼らはこれを無視し、狡猾さより力を選んだ。そこで、プロメテウスはゼウスの側に立ち、彼に狡猾さを与えた。その結果、ゼウスはタイタン族を倒してタルタロスに追放した。
 その後、ゼウスは王となり、人類を滅ぼそうとした。だが、プロメテウスは人類に火と盲目的な希望を与えた。その結果、人類を滅びから救うことになった。

人類に火を与えるプロメテウス

しかし、そのために、プロメテウスはゼウスの計画を妨害したとして、罰されることになった。だが、プロメテウスは後悔していないという。

 オケアノス自身がプロメテウスのところにやってくる。オケアノスはプロメテウスを解放するよう、ゼウスに訴えに行くつもりである。だが、プロメテウスはオケアノスにそうしないよう説得する。

 なぜなら、ゼウスはその要求を無視するだろうからである。しかも、オケアノスもまたこの一件に巻き込まれてしまうだろうからである。オケアノスはそれでもプロメテウスのために行動しようとする。だが、ついにプロメテウスに説得されて、その場を立ち去る。
 プロメテウスはオケアノスの娘たちに、人類のためにしてきたことを語る。プロメテウスは人類に、農業、建築、言語、医学、数学、家畜の利用、航海術、占いなどを教えた。すなわち、人類のあらゆる技芸はプロメテウスの贈り物であった。

 そこに、イオがやってくる。イオはゼウスによって牛に変えられた。アブに追いかけれており、あてもなく世界を放浪している。イオはなぜゼウスがこんなひどい罰をするのかと嘆く。プロメテウスに、いつまでこのような惨状が続くのか尋ねる。 
 プロメテウスは予知の能力を浸かって、イオに将来を予言する。イオはヨーロッパ、アジア、アフリカを放浪することになる。常に、危険な生物に気をつけなければならない。

 イオはいずれアジアに到着し、子供を産む。いおの子孫がプロメテウスをこの岩山から解放し、ゼウスの権力を奪うだろう。イオの子孫はイオをも救い、アルゴスの王になるだろう。アブがイオを噛み始めたため、イオはまた放浪を始める。

 プロメテウスは、ゼウスの息子がゼウスを倒すだろうと叫ぶ。 そこに、ヘルメスがやってくる。ヘルメスはゼウスの息子であり、神々の使者である。ヘルメスはどの息子がゼウスを倒すのかを知りたいと思う。そこで、プロメテウスに、その息子の母親を明かすよう求める。
 プロメテウスはこれを拒否する。ヘルメスは彼が答えなければ、さらなる災いが彼を襲うと警告する。毎日、鷲がプロメテウスの内臓を食らうだろう、と。プロメテウスを傲慢で不従順だ、と断じる。だが、プロメテウスは拒否する。嵐が起こり始め、プロメテウスの将来に暗雲が立ち込める。

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おすすめ参考文献

アイスキュロス『縛られたプロメテウス』呉 茂一訳, 岩波書店, 1974

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