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シェイクスピアの『ヘンリー5世』:百年戦争の物語

『ヘンリー5世』はイギリスの代表的な劇作家シェイクスピアの歴史劇である。『ヘンリー5世』は『ヘンリー4世』の続編としてつくられている。『ヘンリー4世 第二部』では、ヘンリー5世の父ヘンリー4世が5世とともにイギリスの内乱を鎮圧した。

『ヘンリー5世』(Henry V)のあらすじ

 舞台は15世紀初頭のイギリスである。それまで、ヘンリー5世は王太子であったが、酒場でならず者たちとつるむのが好きだった。だが、内乱を鎮圧するための戦いで、心を入れ替え、王位継承者としての自覚をもった。
 そしてヘンリー4世が病没し、ヘンリー5世がイギリス王に即位した。『ヘンリー5世』は、この即位以後の物語である。
 この時期はイギリスとフランスとの百年戦争の時代だった。一時的に休戦状態だった。ヘンリー5世はフランスへの野心をもっていた。その野心を正当化するための根拠を低減sれ、納得する。
 さらに、ヘンリーはフランスの王太子から、この野心を嘲笑するようなメッセージを受け取る。そのため、ヘンリーはフランスへの進軍を決意する。戦争の準備が開始される。
 ヘンリー5世は即位する際に、かつてのならず者たちとの関係を断ち切り、王としてふさわしい生き方をしようと決めた。そのため、即位の頃にかつての(ならず者の)仲間と町中でばったり合った際にも、彼らを拒絶した。
 ならず者たちの一部はフランスの味方をし、ヘンリー5世の暗殺を企てる。ヘンリーは出港前にこれを察知して、彼らを逮捕させる。ならず者は命乞いするが、処刑される。
 別のならず者たちはフランスとの戦争への参加を決める。彼らの中で長老格だたフォルスタッフはすでに没している。
 ヘンリーの軍はフランスに到着し、戦争を始める。数々の困難を乗り越えて、進軍していき、ハーフルールの町を征服する。疲弊しているイギリス兵にたいし、ヘンリーは熱く語りかけ、彼らを激励する。
 他方、フランスの宮廷では、貴族らがイギリス人の襲来を非難している。だが、イギリス軍はさらに進撃してくる。
 両軍はついに有名なアジャンクールの戦いで衝突することになる。その前夜、ヘンリー5世は情勢が不利であることを自覚する。変装して、自軍の兵士たちの話を聞く。彼らがこの戦いについてどう思っているかを知る。
 ヘンリーは一人になり、この戦争がいかに大変な状況にあるかを認識する。それでも勝利へと導かねばならない。王としての責務を痛感する。この難局を乗り越えることができるよう、神に祈る。
 決戦当日、フランス軍は情勢が有利であったので、ヘンリーに降伏を勧告する。だが、ヘンリーはこれを追い返す。自軍の兵士たちを熱烈に鼓舞し、戦場に向かう。
 アジャンクールの戦いが始まる。

激戦の末に、ヘンリーが勝利する。ヘンリーは勝利を神に感謝する。意気揚々とロンドンに戻る。
 ヘンリーはフランスでの権益を確実にするために、フランス王の娘キャサリンとの結婚を交渉する。フランスがこれを認め、両者は結婚する。かくして、イギリスとフランスの王権が結びつく。

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シェイクスピア『ヘンリー5世』松岡 和子訳、筑摩書房、2019年

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