『アテネのタイモン』はイギリスの代表的な劇作家シェイクスピアの作品。1607年頃につくられた。
『アテネのタイモン』(Timon of Athens)のあrすじ
舞台はギリシャのアテネである。アテネにはタイモンという大変気前のよい男がいる。タイモン画家や宝石商、商人などの訪問を受け、彼らから商品をはぶりよく買う。元老院の議員をもてなし、宴会を開く。
友人のウェンティディウスが借金を返済できずに投獄される。タイモンはそれを知り、借金を肩代わりして、彼を釈放させる。召使が結婚するための資金を提供してやる。かくして、タイモンは多くの人から人気を得ている。
友人のアペマントスはタイモンに、おべっか使いに注意するよう忠告する。だが、タイモンはこれを気にかけない。
アテネには、アルキビアデスという将軍がいる。タイモンは彼のために宴会を開く。アベマントスはその宴会に出席する。そこでも、おべっか使いについて忠告しようとする。だが、タイモンは見返りを求めずに贈り物などをすることが喜びなのだと語る。
タイモンには、フラヴィウスという忠実な召使がいる。タイモンの財産は当然ながら減っていった。フラヴィウスは財産管理に問題がでていることをタイモンに訴える。だが、タイモンはこれを無視する。
タイモンはすでに大きな借金をしている。彼に金を貸していた友人たちが、借金の返済を求める。だが、フラヴィウスはもはや金がないことに気づく。タイモンは借金取りを追い払おうとしたが、失敗する。
タイモンはフラヴィウスになぜ借金取りがきているのかを尋ねる。フラヴィウスはもはや借金しかないと答える。フラヴィウスに、なぜそのことをこれまで話さなかったのかと詰問する。だが、フラヴィウスはこれまで話そうとしてきたが、タイモンが聞こうとしなかったと反論する。
フラヴィウスはタイモンにこう言う。タイモンは気前が良かったので人気をえてきた。だが、金がなくなれば、多くの「友人」たちは潮が引くかのように去っていくだろう、と。タイモンはそれを認めない。
タイモンはこれまでの友人たちに、借金を頼むよう、フラヴィウスら召使に命じる。だが、彼らは友人たちに借金を断られる。借金を肩代わりしてやった上述のウェンディディウスにも断られる。
タイモンの家には、借金取りが詰め寄せている。彼らはかつてタイモンからもらった服飾品を身に着けながら、借金を取り立てている。
タイモンはそれまでの「友人」たちの様変わりに激怒する。最後にもう一度彼らを招待し、宴を開く。「友人」たちはこれまでのようにタイモンにお世辞を言う。だが、タイモンは石と水だけを「料理」として提供し、彼らを痛罵する。タイモンは彼らを呪いながら、アテネを去る。
タイモンは荒野を彷徨い、洞窟にたどりつく。食料を求めて、土を掘り始める。たまたま、誰かが隠した金塊を発見する。だが、もはや必要ないので、その大部分を再び埋める。
その頃、上述の将軍アルキビアデスもまた別件でアテネから追放されていた。アルキビアデスは塀を組織して、アテネに復讐しようと企てている。彼はタイモンのもとを尋ねる。タイモンはアルキビアデスのアテネ襲撃計画を知り、賛同する。上述の金塊を引き渡し、アテネを滅ぼすよう促す。
アベマンタスがタイモンの洞窟を訪れる。アベマンタスもまた、別件でアテネから追放されていた。アベマンタスは上述のように、タイモンにおべっか使いに注意せよと忠告していた。
アベマンタスはタイモンがアテネに憎悪を抱いているのを知り、タイモンを軽蔑する。タイモンがおちぶれたのは、おべっか使いにたいして気前よくしていたからだと指摘する。
タイモンはアベマンタスと口論になる。おべっか使いがいかに有害かを認める。アベマンタスもまた追放されていたので、アテネの人々への憎しみを語る。二人はそれぞれの苦悩を知り、アテネの人々への呪いを口にする。アベマンタスは立ち去る。
忠実な召使フラヴィウスはタイモンを探していた。ようやく、タイモンを見つけ、訪れる。フラヴィウスはなけなしの金をかつての主人タイモンに渡し、立ち直るよう促す。
タイモンはフラヴィウスの行動に感銘を受ける。フラヴィウスをアテネの唯一の誠実な人物とみなす。残った金塊をフラヴィウスに与え、立ち去らせる。
冒頭で登場した詩人や画家がタイモンを訪れる。タイモンが金をもっているという噂を聞いたためだ。タイモンはその意図を見抜き、彼らを追い返す。
他方、アルキビアデスはアテネへの進軍を開始しようとしている。元老院は危機感を抱き、これを中止させたい。彼に資金援助したタイモンをアテネに呼び戻せば、これを止めることができるかもしれない。
そう思い、元老院議員はフラヴィウスを連れて、タイモンを訪れる。だが、タイモンは議員たちの説得を受け入れない。議員たちはなにも得ないまま、立ち去る。
アルキビアデスは兵を率いて、アテネの門に到来する。元老院議員は攻撃をやめるよう交渉する。アルキビアデスはタイモンを侮辱したアテネ人を罰するよう元老院に求める。議員はそれに応じる。
アルキビアデスの従者が、タイモンの墓を見つけたと報告する。アルキビアデスは攻撃の計画をやめてアテネに入り、タイモンを称える。