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シェイクスピアの『トロイラスとクレシダ』:ギリシャ神話をいかに翻案したのか

『トロイラスとクレシダ』はイギリスの代表的な劇作家シェイクスピアの作品。ホメロスの『イリアス』などで知られる古代ギリシャのトロイア戦争を題材としている。

シェイクスピアの『トロイラスとクレシダ』(Troilus and Cressida)のあらすじ

 舞台は古代ギリシャのトロイア戦争である。これはトロイアとギリシャの間で繰り広げられた伝説的な戦争である。発端は、ギリシャの王メネラオスの妻ヘレネをトロイアの王子パリスが奪ったことにあった。この戦争が始まって数年後がこの物語の舞台となる。

 ギリシャ側には、アキレスという英雄がいた。dが、アガメムノン王とのいざこざにより、その戦争への参戦を拒否するようになる。親友のパトロクロスとともに、自分たちの指揮官たちへの不平をおおっぴらにのべていた。そのため、ギリシャ軍は士気が下がっている。その問題に、メネラオスらが気づく。
 他方、トロイでは、王と王子たちが戦争を続けるべきかで口論している。ヘレネをギリシャに返して、戦争を終わらせるべきなのか。王子パリスやヘクトール、弟トロイラスなどが論じあった後、戦争の継続を決める。
 ヘクトールはトロイア軍の英雄でもある。彼はギリシャ側の英雄との一騎打ちを望み、ギリシャ軍にこれを申し入れる。
 ギリシャ側はこれを受け入れる。問題は、誰を選ぶかだ。本来なら、アキレスである。だが、アキレスは上述のような貞治あである。そこで、アエネイスが選ばれる。一騎打ちの名誉を他の人物に与えることで、アキレスの戦う気を起こさせようとしたのだ。
 他方、トロイラスはクレシダという娘に恋をする。クレシダの父カルカスはトロイ人だったが、いまはギリシャに寝返っている。クレシダの叔父のおかげで、二人は結ばれ、結婚する。


 クレシダの父は娘との再会を望んでいる。トリアジンの捕虜をクレシダと交換しようと、ギリシャ側に提案する。これが受け入れられ、クレシダはギリシャに送られる。引き離されるとき、トロイラスとクレシダはお互いの変わらぬ愛を誓い合う。
 ヘクトールとアエネイスの一騎打ちが行われる。ヘクトールはアエネイスが親戚であるため、倒さずに引き分けで終わらせる。一騎打ちを受けて、一時休戦にして、ヘクトールとトロイラスはギリシャ人との宴を開く。
 宴が終わり、夜の静寂が訪れる。トロイラスはクレシダに会いたいと思い、探し回っている。ギリシャのオデュッセウスがトロイラスをクレシダのもとへ連れて行く。
 そこで、トロイラスはクレシダがギリシャ人と一夜をともにする場面を目撃する。トロイラスをショックを受ける。ギリシャ軍への闘志を新たにする。

 翌日、両軍は戦いを再開する。トロイアのヘクトールは様々な不吉な前兆を受ける。だが、怒りと悲しみで一杯のトロイラスとともに、出陣する。
 ギリシャ軍では、アキレスはまだ戦う気がない。かわりに、パトロクロスがギリシャ軍を率いて戦う。トロイア軍に殺される。アキレスはこの親友が殺されたのに激怒し、ついに戦場に復帰する。
 アキレスはヘクトールと一騎打ちしようとする。勝敗は決まらない。ヘクトールへの計略に成功し、打ち倒す。パトロクロスの復讐として、ヘクトールの遺体をトロイアの城壁の周りで引きずり回す。
 トロイラスは兄の死への復讐心と、クレシダを奪われた怒りに燃える。物語は両軍の対立が続く中で、終わる。

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シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』小田島 雄志訳、白水社、1983年

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