『クリスマス・キャロル』はイギリスの作家ディケンズの代表的な小説である。1843年に公刊された。世界中で人気の作品であり、何度も演劇や映画などになった。この記事では、あらすじを紹介する(結末までのネタバレあり)。
ちなみに、クリスマス・キャロルというのはクリスマスの時期に歌われる民謡である。クリスマスはイエス・キリストの生誕祭であるので、宗教的な民謡である。クリスマスはキリストのミサである。
『クリスマス・キャロル』(A Christmas Carol)のあらすじ
物語の主人公はエベニーザ・スクルージという老人である。ケチで意地悪である。クリスマス・イヴに会計事務所にいる。寒い日だった。だが、スクルージが暖房を管理しており、石炭の使用を制限している。そのため、従業員のボブ・クラチットは寒さで震えている。
スクルージの甥のフレッドが彼を訪ねてくる。フレッドは彼を毎年恒例のクリスマス・パーティーに招待する。だが、スクルージはフレッドがクリスマスで浮かれているのが気に入らず、彼を追い返す。
その後に、二人の紳士がスクルージを訪れる。クリスマスなので、貧者への募金を集めに来たのだ。だが、スクルージは貧者には救貧院がお似合いだと考え、紳士たちをも追い返す。このように、スクルージはクリスマスの精神を蔑ろにしている。
その夜、すなわちクリスマス・イヴの夜、スクルージは帰宅する。すると、不思議な大剣をする。スクルージには、かつてジェイコブ・マーリーというビジネス・パートナーがいた。マーリーもまたスクルージと同様、利己的で貪欲な人物だった。彼は数年前に死んだ。
スクルージが帰宅すると、マーリーの亡霊が彼を訪ねてくる。マーリーの亡霊は青ざめ、大きな鎖をつけた状態で歩いてくる。マーリーはスクルージに、なぜこんな悲惨な姿で死後も地上をさまよっているかを説明する。彼の生前の生き方がるかったのだとスクルージにいう。
さらに、マーリーはスクルージに、彼も同じ運命を辿ってしまうと警告する。スクルージはマーリーよりも大きな欠点をもつので、より悲惨な運命が待っている。そのような運命からスクルージを救いたいのだ、とマーリーはいう。これから三晩、三人の霊がスクルージを訪れると告げ、マーリーは消える。スクルージは深い眠りに落ちる。
スクルージは目を覚ます。だが、外はまだ暗い。そこに、最初の霊が彼を訪ねてくる。その霊は明るく輝きを放っている。
霊はスクルージを彼の過去へと連れて行く。まずは、スクルージは彼の学生時代の孤独な時期を見る。次に、陽気なフェジウィグのもとで見習いをしていた時期である。最後に、スクルージーがすでに金儲けに打ち込んでいた時期である。この頃、彼はベルという女性と婚約していた。だが、二人は婚約を破棄することになった。スクルージはこれらの過去の幻影をみて、自分の過去に後悔を感じる。霊は消え去り、スクルージは再び眠りに落ちる。
スクルージが目を覚ます。今度は明るい。二人目の霊が彼を訪れる。今度の霊は、毛皮を着た巨人である。この霊はスクルージに、今年の来たるべきクリスマスをみせようとして、彼をロンドンへ連れて行く。
この霊とスクルージは周囲の人々には見えない。霊は町中を訪ねて、その魔法で彼らに喜びをもたらす。
二人は、上述の従業員のボブの家を訪れる。ボブは大家族であり、ささやかなクリスマス・パーティーを愉しんでいる。
ボブには、足の不自由なティムという息子がいる。ボブはティムを家に連れて帰り、一緒にクリスマスを過ごす。ティムは少年でありながら、自分自身の病気に真正面から向き合っている。検挙で明るい少年である。スクルージはその姿に心を打たれる。だが、霊はティムの寿命が長くなるとは約束できないという。
次に、スクルージたちは彼の甥の家に行く。スクルージをクリスマス・パーティーに誘っていた甥である。そこでは、一家は楽しそうに歌ったりゲームをしたりする。スクルージは最初それをみていたが、楽しそうな雰囲気になじんでいく。スクルージ自身もまた、目に見えないが、それらに参加し始める。あまりに楽しいので、最後までいたいと霊に頼み込む。
その日が終わる頃、霊はスクルージに、自分のローブの下に隠れている二人の子どもを示す。「無知」と「欠乏」と呼ばれる2人の貧しい子供である。そのようにして、スクルージに警告する。彼らは消え去る。
次の夜、3 番目の霊がスクルージを訪れる。霊は黒いマントをまとっており、不気味である。霊はスクルージをビジネス街につれていく。そこでは、ビジネスマンたちがある男の死について話し合っている。彼らはこの男の財産について噂している。スクルージはその男の所持品が換金されているのをみる。さらに、その男の死体をもみる。
スクルージは何かをそこに見出そうとした。その男の死にたいして、誰かが涙を流したりするようなところを見たいと思った。スクルージは霊にそのように頼む。だが、霊は別のシーンを彼に見せる。
この男が厳しい債権者だったので、彼の死によって借金がなくなると安堵する家族の姿である。また、上述のティムが死んで悲しみに涙するボブの一家をも、スクルージは見る。
スクルージはこの死んだ男が誰なのか知りたいと霊に頼む。すると、教会の墓地に移る。そこには、この男の墓がある。その名前は、スクルージだった。スクルージは男が自分自身だと知り、愕然とする。恐怖で苦しむ。
スクルージは霊にたいして、これまでの生き方を変え、これからはクリスマスを大事にするので、この悲惨な運命を変えてほしいと懇願する。霊は消える。
ふと、スクルージは目を覚ます。クリスマスの日である。スクルージは人生をやり直すチャンスが与えられたことに大きな喜びを感じる。スクルージは自分自身を変えていく。
スクルージはクリスマスを大切にする。ボブの家に、クリスマス祝の七面鳥を送る。町では、道行く人々に、「メリー・クリスマス」とお祝いを述べる。甥の家に行き、一緒にクリスマス・パーティーを愉しむ。
翌日には、スクルージはボブに昇給を与える。スクルージは。彼のひたむきな息子ティムをかわいがるようになる。ティムは長生きできるようになる。スクルージはその後もクリスマスを大切にし続ける。
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おすすめ参考文献
ディケンズ『クリスマス・キャロル』脇 明子訳, 岩波書店, 2001
※ディケンズの生涯や作品は次の記事を参照