『星の王子さま』はフランスの作家サン=テグジュペリの童話。1943年に執筆された。愛の意味について語る名作として知られる。この記事では、あらすじを原著の挿絵や名言とともに紹介する(結末までのネタバレあり)。
『星の王子さま』(Le Petit Prince)のあらすじ
物語の舞台はアフリカのサハラ砂漠である。主人公のパイロットは郵便のために砂漠を飛行していたが、墜落してしまう。
パイロットは飛行機を修理しようとする。水や食料は限られている。眠っていると、突然、ある金髪の小さな少年が近づいてきて、話しかけてくる。羊を描いてくれというのだ。
パイロットは驚く。全く人のいない砂漠に少年が一人いる。迷子にはみえない。しかも、羊を描いてくれと頼んでくる。真剣に何度も頼んでくるので、描いてあげる。
だが、王子は気に入らない。結局、パイロットはなげやりになって、箱の絵を描いた。パイロットは箱の中には羊が入っているというと、少年は喜ぶ。
二人は友人になる。パイロットは少年についていろいろ尋ねる。少年がB-612 という小惑星から来た王子様だということを知る。彼の惑星は地球にある家より小さな星だ。王子は夕日が好きなことを、悲しいときに夕日をみるのが好きなことを、パイロットは知る。
王子は自分の惑星ではバオバブの木が星全体を破壊してしまうほど危険だという。なので、繁茂しないようにしている。そのバオバブが小さいうちに、羊に食べさせたい。だから、羊を描いてもらったのだ、と。
ある時、バラが芽生えた。王子はこの美しいバラに恋をした。バラは突如としてその惑星にやってきた。その惑星のことを知らなかった。見栄っ張りだったので、よく知らないということをごまかそうとした。嘘をついた。
バラの嘘が露見した時、王子はバラをもう信じられないと思った。これが優しい嘘だということを、当時は気付けなかった。そのため、王子はバラとはもう一緒にはいられないと思い、自分の星を旅立つことに決めた。
出発の日、王子はバラにさようならをいった。バラは自分が間違っていたと謝った。王子は自分が責められないのを驚いた。バラの優しさを理解できなかった。鳴きたい気持ちだった。それはバラも同じだった。お互いに愛し合っていた。
だが、王子は旅立つと決めた。バラは決めたのだったら、行きなさいという。バラは涙を見せたくなかった。誇り高い花だ。
かくして、王子は星を出発し、宇宙旅行に出る。このバラとの別れが物語の中核となる。
王子は地球に到来する前に、6つの星を訪れていた。星全体を支配するがそこには臣下のいない王の星、
虚栄心の強い人の星、のんだくれの星、金の勘定に忙しいビジネスマンの星、ランプ職人の星、地理学者の星。
王子は自分のことばかり考えるこれらの大人たちを変人だとおもう。ランプ職人はこの点で例外的だったが。他方で、地理学者からは、花の寿命が限られていることを知る。自分の惑星に残してきたバラを恋しく思うようになる。
王子は地球にやってくる。サハラ砂漠の真ん中に降り立つ。
蛇は謎かけをしながら、王子に近づいてくる。もし望むなら、毒によって、王子を元の惑星に連れ戻すことができるという。だが王子はこれに応じない。
王子は高い場所にのぼっていき、バラの園を発見して驚く。自分の惑星に残してきたバラと同じバラがたくさん咲き誇っている。
王子はとても不愉快になった。 あのバラは、自分がこの宇宙でたった一輪しかないと言っていた。 ところが、一つの庭に同じような花が5千本も咲いているのだ。
もし王子のバラがこれを見たら……咳き込んで、嘲笑から逃れるために死んだふりをするだろう。 王子は彼女の世話をするふりをしなければならない。そうしなければ、私にも恥をかかせるので、彼女は本当に死んでしまうだろうから。王子はそう思った。王子は自分の星のバラが特別な存在ではないように思われて、落ち込んだ。
王子はキツネと出会い、仲良くなる。キツネは王子に、いろんなことを教えてくれる。
絆を築くとはどういうことか。絆がなければ、王子にとってそのキツネは他の多くのキツネと何も変わらない。だが、絆を築くことで、「あなたは私にとって世界で唯一の存在になる。 私はあなたにとって世界でたった一人の存在になる」。これが絆を築くことだ。
キツネは王子に、王子の残してきたバラへの考えを改めさせる。たしかに、王子のバラは砂漠のバラ園のたくさんのバラと見た目がほとんど同じである。もちろん、どのバラも美しい。だが、王子にとって、王子のバラ以外、どのバラも空っぽだ。どのバラのためにも死ぬことなんてできない。
他の人から見れば、どのバラも同じに見えるだろう。だが、王子にとっては、王子のバラだけがほかのすべてのバラよりも大切だ。王子の愛が、王子のバラを王子自身にとって特別な存在にするのだ。王子はこのことを、バラ園のバラを見ながら、思う。そして自身のバラを愛しく思う。
キツネは王子に言う。「大切ななことは目にはみえない」。そして、「あなたがバラのために費やしてきた時間こそが、あなたのバラを大切なものにしているのだ」。そのようにして絆を築いた相手にたいして、あなたは責任を負うようになる。
こうして、王子はパイロットと出会うまでの話を終える。二人は喉が乾いていた。そこで、一緒に水を探そうと歩き出す。夜になる。疲れて二人は座り込む。
王子はいう。星がきれいだ。星がきれいなのは、見えない花がそこにあるからだ。パイロットはそうだと答える。王子は砂漠が美しいという。-砂漠がこれほど美しいのは、どこかに井戸が隠されているからだ、という。
パイロットは理解し、こう王子に言う。星であれ、砂漠であれ、それらを美しくしているものは目に見えない!一番大切なものは目に見えないんだ。王子はキツネの言うことを理解してくれて嬉しいと答える。
パイロットが王子に最も惹かれているところ。それは、彼自身のバラへの誠実な心だ。一番大切なものは目に見えない。
夜明け頃に井戸を見つけ、水を飲む。二人は至福のひとときを満喫する。
二人は至福のひとときを満喫する。
王子は自分の星に還ろうと決める。ヘビと会って、そのことを相談する。
王子はパイロットに飛行機を修理するよういい、翌日の夕方にまた会おうという。
その翌日、二人は再会する。パイロットは飛行機を修理し終わる。王子は上述のヘビと話し合っている。パイロットに、今日は自分が地球に来て一年目の記念日だという。
二人は王子が最初に降り立った砂漠の地点まで歩く。王子はパイロットに、自分がもう自分の惑星に戻ることを告げる。ヘビによって死んだようになるが、心配しないよう、と。王子はヘビに自分を噛ませ、砂の上に静かに倒れる。
翌日、パイロットは王子の体が消えていることを確認する。王子がきっと惑星 B-612 に戻ったのだと考える。でも、悲しみは残る。王子は自分が描いた羊が王子のバラを食べてしまうのではないかと心配する。
最後に、パイロットは読者にたいし、もしこの砂漠に来るようなことがあったら、そして、もし王子がまたここに帰ってきたら、すぐに語り手たるパイロットに知らせてほしいと頼む。
おすすめ関連作品
・ ・