『ロミオとジュリエット』はイギリスの代表的な劇作家シェイクスピアの悲劇作品。シェイクスピアの代表作であるだけでなく、イギリスの、ひいてはヨーロッパの古典的名作として知られる。
本作は1594年頃に制作された。題材は、1562年のアーサー・ブルックの叙情詩『ロミオとジュリエット』 だとされている。この記事では、そのあらすじを紹介する(結末までのネタバレあり)。
ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)のあらすじ
物語の舞台は中世イタリアの都市ヴェローナである。この都市では、二つの家門が争いを続けている。モンタギュー家とキャピュレット家である。主人公のロミオはモンタギュー家の子息であり、ジュリエットはキャビュレット家の子女である。この二人の悲しい恋の物語が始まる。
両家の対立
これら二つの家門がいつものように街中で小競り合いをしていた。ベンヴォーリオという青年はロミオと同様に、モンタギュー家に属している。ティボルトという青年はジュリエットのようにキャビュレット家である。
二人の青年をふくめ、二つの家門が路上で殴り合う。ヴェローナの君主がこの喧嘩をやめさせる。もし再び喧嘩をしたら、処罰すると宣言する。全員がその場を立ち去る。
ロミオはその喧嘩にはいなかった。ベンヴォーリオがロミオを探し出し、悩みを聞く。ロミオはロザリーンという女性に恋をしていた。この時点では、ジュリエットには会っていない。
ジュリエットの結婚話
他方、ジュリエットには婚約の話が進められている。パリスはキャピュレット卿を訪ね、ジュリエットとの結婚を申し込んだのだ。だが、キャピュレット卿はジュリエットが14歳であり、あまりに若すぎるので、2年間待つよう求める。
同時に、舞踏会を開催してジュリエットを出席させるので、パリスがそこでジュリエットを口説くよう提案する。
舞踏会にて
キャビュレット家で舞踏会の準備が始まる。そこにはジュリエットとパリスだけでなく、ロザリーンも参加する。キャビュレット夫人とジュリエットの乳母は、パリスとの結婚をジュリエットに勧める。ジュリエットは舞踏会でパリスに会ってみることに同意する。
ロミオとベンヴォーリオは舞踏会の存在を知る。ベンヴォーリオは、ロメオがロザリーンを諦めて他の美しい女性を選ぶよう促すべく、一緒にこの舞踏会に参加するよう提案する。ロメオは同意する。だが、ロメオはロザリーンが出席すると知って同意したにすぎなかった。ロミオの足取りは思い。
いよいよ、舞踏会が始まる。ロミオは会場につくと、遠くにいるジュリエットに一目惚れする。ロザリーンのことはもう眼中にない。ロミオを、キャビュレット家のティボルトが見つける。
宿敵のモンテギュー家の子息ロミオがキャビュレット家の舞踏会にいるとは何事か、と憤慨する。ロミオに襲いかかろうとする。だが、キャビュレットに止められる。
ロミオはジュリエットに話しかける。二人は惹かれ合う。二人は互いを誰か知らない。若い二人はそのままキスする。だが、二人はそれぞれが誰であるかをジュリエットの乳母から知らされる。宿敵の娘あるいは息子だと知り、ロミオもジュリエットも動揺する。
バルコニーでの語らい
ロミオは果樹園の壁を乗り越え、キャピュレット家の庭に入る。そこには、ジュリエットの居室があった。ジュリエットはバルコニーに出て、ロミオについて語る。
ロミオはそれを見つけ、二人は語り合う。愛の誓いをかわす。
乳母はジュリエットの翌日の結婚を促す。ジュリエットはロミオの愛がほんものであるなら、翌日また連絡をするよう求める。
恋の進展
翌日、ロミオは友人のローレンス神父に会う。二人は薬草などを採取しながら、話す。ロミオはジュリエットへの恋を相談する。ローレンスは細菌までロミオがロザリーンに首ったけになっていたので、驚く。だが、二人の結婚が敵対する両家に平和をもたらすと期待し、協力することにした。
その後、ロミオはベンヴォーリオと出会う。例のティボルトがロミオに決闘を申し込んだことを知る。そこに、ジュリエットの乳母がやってくる。ロミオは乳母に、ジュリエットとの結婚を本気で考えていると伝える。ジュリエットがローレンス神父のもとにくるよう、伝言する。
乳母がジュリエットのもとに戻ってくる。ロミオの返事をやきもきしながら待っていた。乳母はジュリエットに、ローレンス神父のもとにいくよう伝える。
二人はローレンス神父のところで出会う。二人はひそかに結婚する。
確執の再燃
再び、モンテギュー家とキャビュレット家で喧嘩は始まりそうになる。ティボルトはロミオを探し回っている。ロミオがそこにやってくる。ロミオはジュリエットとの結婚を隠したまま、ティボルトとはもう戦いたくないという。
だが、ティボルトが襲いかかる。ロミオの友人とティボルトの争いが始まる。ロミオはそれを止めようとし、友人がかわりに刺されて死ぬ。ロミオは友人の復讐で、ティボルトを殺す。ヴェローナの君主が事態を把握し、ロミオを追放刑に処す。
ジュリエットはロミオがやってくるのを待っている。そこに乳母がやってくる。ジュリエットはロミオがティボルトを殺したのを知る。動揺する。だが、事態の展開を知り、妻としてロミオの味方をすべきと心を決める。
引き裂かれる二人の関係
ロミオはロレンス神父のもとに隠れている。自身に追放刑がくだされたと知る。ジュリエットに会えなくなるのが苦しいと吐露する。そこに乳母がやってきて、ロミオへのジュリエットの愛を伝える。
ロミオがジュリエットのもとに行って、慰めてくるよう、神父はロミオにいう。その後、ロミオはひとまずマントヴァに行って、事態が落ち着くのを待つべきだ、と神父は助言する。
ロミオはジュリエットのもとを訪れ、二人は結ばれる。
翌朝、ハムレットはジュリエットのもとを去り、マントヴァに向かうことになる。
その頃、パリスがキャピュレット卿を訪ねる。ジュュリエットとの結婚を申し込み、認められる。3日後に結婚することに決まる。この時点で、二人はロミオとジュリエットがすでに結婚していることを知らない。
キャピュレット夫人がジュリエットのもとにやってくる。ジュリエットに、パリスと結婚するよう告げる。ジュリエットは拒否する。だが、キャピュレット卿はパリスとの結婚を強いようとする。
ジュリエットは困惑し、乳母に相談する。乳母はもうロミオを忘れて、パリスと結婚するよう勧める。ジュリエットはこの答えにがっかりして、ローレンス神父を訪れることにする。
神父の「妙案」
ジュリエットは神父にたいし、パリスと結婚するなら死んだほうがマシだという。神父はジュリエットに協力する。次のような計画を立てる。ジュリエットに仮死状態になるような薬を渡す。これでジュリエットが死んだとみせかけ、墓に埋葬させる。
ロミオがジュリエットをそこから連れ出し、マントヴァで一緒になる、と。ジュリエットはこの計画に承諾する。ローレンスはこの計画をロミオに伝えるために、使者を出す。
ジュリエットは家に戻り、キャピュレット卿にパリスとの結婚を受け入れると伝える。キャピュレット卿は大喜びする。結婚を翌日に早めると決定する。
ジュリエットは神父の薬を飲む。死んだかのようになる。翌日、乳母はジュリエットが死んだとみなし、大騒ぎになる。ジュリエットの身体は墓に運ばれる。
ロミオはジュリエットが死んだという知らせを受け取る。だが、ローレンス神父から計画についての知らせはロミオに届かない。そのため、ロミオはジュリエットが本当に死んだと思い込む。ジュリエットなしに生きるくらいなら、死んだほうがましだと思い至る。毒薬を入手し、ジュリエットの墓で死ぬと決心する。ロミオはジュリエとの墓に向かう。
ローレンス神父は、上述の計画がロミオに伝わっていないことを知る。この事実にあわてふためき、急いでジュリエットの墓に向かう。
クライマックスへ
いよいよ、物語はクライマックスに至る。ロミオがジュリエットの墓に到着すると、すでにパリスがそこにいた。二人は口論になり、決闘に発展する。ロミオはパリスを殺す。
ロミオはジュリエットの前に着く。ジュリエットが死んでしまったと思い、そこで毒を飲んで命を断つ。
そこにロレンス神父がやってくる。パリスとロミオが死んでいるのを見つける。このタイミングで、ジュリエットは薬の効力がきれて、目を覚ます。
見張りが中に入ってくる気配がする。ロレンソ神父はジュリエットに、一緒に外に出るよう促す。ジュイリエットは拒否する。神父だけそこから逃げる。
ジュリエットはロミオが毒で自殺したことに気づく。ロミオなしではもはや生きていけない。ジュリエットは毒をあおいだロミオの唇にキスをして、死のうとする。だが、死ねなかった。ロミオの短剣を胸に刺し、命を断つ。
すべてが終わった後、ヴェローナの君主が現場に到着する。キャビュレット夫妻とモンタギュー卿も到着する。そこに、ローレンス神父がやってきて、事情を説明する。
キャピュレット卿とモンタギュー卿は、これだけの若い命を奪ったものがなにかを考える。それは長年の両家の確執だと気づく。両家はこの対立に終止符を打つことに同意する。
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おすすめ参考文献
シェイクスピア『ロミオとジュリエット』河合 祥一郎訳, 新潮社, 2005
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※シェイクスピアの生涯と作品については、「シェイクスピア」の記事を参照。