クロード・モネはフランスの画家(1840ー1926)。19世紀フランスの画壇で、印象派という新しい画家集団を立ち上げ主導した義をもつ。印象派の創始者ともいうべき人物である。20代前半でのルノワールなどとの出会いから全てが始まった。代表作には、「印象・日の出」や「睡蓮」などがある。以下、絵画などの画像を示しながら説明しよう。
モネの生涯
クロード・モネ(Claude Monet)はフランスのパリで商人の家庭に生まれた。5歳のとき、一家はル・アーブルに移った。モネは歌手の母から絵を勧められ、描くようになった。風刺画を描いて人気をえた。
その地で、画家のウジェーヌ・ブータンに師事した。戸外で風景画を描くよう進められた。これがモネの画家としての方向性に影響を与えた。
画家としての修行
1859年、モネはを学ぶためにパリに移った。だが、美術学院には通わず、スイス・アカデミーに通った。その際に、若き画家のカミーユ・ピサロと交流をもった。
1861年から、モネは兵役につき、アフリカのアルジェリアに派遣された。その際に、アフリカの光や色彩に影響を受けた。
1862年、モネはル・アーブルに戻った。ブーダンとともに自然の風景画を描いた。オランダの風景画家ヨンキントと知り合い、光の描写などについて影響を受けた。モネはヨンキントから大きな影響を受けたと自覚した。
同年、モネは再びパリに移った。シャルル・グレールのアトリエに通うようになった。ここで、オーギュスト・ルノワールやアルフレッド・シスレー、フレデリック・バジーユらと出会い、ともに働いた。彼らとともに、フォンテヌブローの森で絵を描くようになった。
画家としての開花と苦難
モネは徐々に頭角を現すようになった。1865年と1866年、作品が認められて、サロンで入選した。暖色系の明るい色合いの作品が多かった。だが、次第に作品はサロンに入選しなくなった。また、1867年に結婚したことがきっかけで、父に縁を切られ、経済的に不安定になった。
1870年、普仏戦争が起こった。モネは戦禍を避けるべく、ロンドンに逃れた。その地で画商ポール・デュラン=リュエルと出会った。リュエルはモネの絵を買うようになった。
印象派の形成:その名前の由来
翌年、モネはパリに戻った。絵画の制作に打ち込んだ。同時に、ピサロたちとともに印象派の個展の準備を進めた。日本の浮世絵の版画にも影響を受けるようになった。
1874年、モネたちは最初の印象派の個展を開催した。モネたちの新たな画家集団は当時のサロンに受け入れられていなかった。そこで、彼ら自身の個展をパリで開催することになった。第一回の印象派の個展である。そこには、165点の絵画が出展された。そのうち、8点がモネの作品である。その中には、『印象・日の出』が含まれた。印象派の名前はこの作品に由来して生まれた。
風刺新聞の『シャリヴァリ』の記者がこの個展を訪れた。彼はこれに関する記事を書いた。そのタイトルが「印象派の個展」だった。そこから、印象派という名称が定着することになった。
印象派の悪戦苦闘
モネは印象派のリーダーとして活動した。印象派の個展を1876年、1877年、1879年、1880年、1882年に開催した。モネは1880年まで毎回出展した。しかし、当時の美術批評家たちは印象派に厳しい眼差しを向けた。印象派の絵画はあまり売れず、価格も非常に安かった。そのため、モネの財政状況は厳しかった。
モネはパリで風景画などを描き続けた。どうにか成功を収めたいと思い、1880年にはサロンに出品した。また、雑誌『近代的生』が彼の個展を開催してくれた。財政面は少しずつ好転していった。
晩年
1883年にはジヴェルニーに引っ越した。南仏やオランダ、ノルマンディーなどを旅して、風景画をえがいた。1890年には、ジヴェルニーで家を買うことができた。
モネの『積み藁』
1893年には、その自宅に睡蓮の池をつくって、1895年から代表作の『睡蓮』の制作を始めた。
モネの『睡蓮』
その後も、ロンドンやノルウェー、フランスやイタリアなどを訪れて、風景画を描いた。1926年に没した。ちなみに、モネはマネに水のラファエロと呼ばれた。
モネの肖像画
こういう面白い解説もあります(画像をクリックすると始まります)
美術評論家として人気の山田五郎さんがYoutube公式チャンネルにてお送りするモネの解説
モネと縁のある人物
●ルノワール:モネとともに印象派の個展を開いた。だが、徐々に印象派の影響から脱していくことにもなった。
モネの代表的な作品
『印象・日の出』(1873)
『積み藁』 (1891)
『ポプラ』 (1890ー91)
『ルーアンの大聖堂』 (1894)
『テムズ河畔』 (1899ー1904)
『睡蓮』 (1895−26)
おすすめ参考文献
森実与子『モネとセザンヌ : 光と色彩に輝く印象派の画家たち』新人物往来社, 2012
安井裕雄『もっと知りたいモネ : 生涯と作品』東京美術, 2022
James H. Rubin, Why Monet matters : meanings among the lily pads, The Pennsylvania State University Press, 2021
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