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シェイクスピアの『恋の骨折り損』

 
『恋の骨折り損』はイギリスの代表的な劇作家シェイクスピアの喜劇作品。1595年頃に制作された。 スペインのナバラ王が3人の貴族とともに、学問に身を捧げるために、3年間、女性との交流を禁止するという誓いを立てる。まもなく、フランス王女が3人の侍女を引き連れて、外交使節としてナバラ王の宮廷を訪れる。 ナバラ王と3人の貴族はすぐに彼女たちに気を引かれる。彼らの誓いは一体どうなるやら・・・。

『恋の骨折り損』(Love’s Labour’s Lost)のあらすじ

 舞台はスペインのナバラ王の宮廷である。ナバラ王は貴族のベローヌ、デュメーヌ、ロンガヴィルとともに、学問の誓願を立てる。3年間、学問に身を捧げるために、女性との交流を禁止し、睡眠や食事にも制約をかすというものだ。
 ベローヌはその実効性を疑わしいと指摘する。だが、夜にはこの誓願を立てる。
 アルマドからナバラ王に手紙が届けられる。そこには、コスタードが女中ジャケネッタと情事にふけっていたので捕まえたと記してある。王はコスター度を裁く。
 王は宮廷の人々にも女性との交流の禁止などの誓いを立てさせていた。上述のアルマドもその一人だった。だが、アルマドは女中ジャケネッタに恋をする。
 コスタードとジャケネッタが連行されてくる。コスタードはアルマドに引き渡される。ジャケネッタも別の場所で勾留される。アルマドはジャケネッタを訪問し、恋していると告げる。

 フランス王女が外交使節としてナバラ王の宮廷を訪れる。 3 人の侍女のロザリンヌ、キャサリン、マリアを引き連れている。だが、ナバラ王は上述の請願のため、フランス王女を通常の仕方で接待することができない。
 結局、フランス王女は宮廷の中に入れず、その外に幕屋を設置することになる。フランス王女は不満だが、これに従う。
 ナバラ王がフランス王女の幕屋を訪ねる。ナバラ王はフランス王女に惹かれる。上述の貴族のベローヌ、デュメーヌ、ロンガヴィルは王女の侍女たちに惹かれる。
 次のシーンで、アルマドはジャケネッタとの恋を進展させようとする。ジャケネッタへの愛の手紙を、コスタードに持って行くよう頼む。他方、ベローヌはフランス王女の侍女のロザラインへの手紙をコスタードに託す。よって、コスタードは2つの恋文を託された。
 次のシーンで、フランス王女たちが狩りに出かける。そこにコスタードがやってきて、貴族ベローヌから侍女ロザラインへの恋文を渡そうとする。だが、間違えて、アルマドからジャケネッタへの恋文をロザラインに渡してしまう。
 その場にいた者たちは、その貴族らしからぬ恋文に笑ってしまう。ベローヌが恋文の執筆者ではないと判断し、では誰なのかと話し合う。
 次のシーンでは、コスタードはある窓からの恋文をジャケネッタにわたす。だが、これはベローヌからロザラインの恋文であった。
 ジャケネッタは文字が読めないので、これをホロフェルネスに読んでもらおうとする。ホロフェルネスはジャケネッタ宛の手紙でないと気づき、ナバラ王に見せるよう勧める。
 次のシーンでは、冒頭で誓いを立てたナバラ王と3人の貴族の恋煩いが示されていく。まず、ベローヌは侍女ロザラインへの恋に胸を痛めている。そこに、ナバラ王がやってくる。ベローヌはとっさに身を隠す。
 ナバラ王はその場に一人きりだと思い込み、フランス王女への恋の詩をうたいあげる。そこに、貴族ロンガヴィルがやってくる。王はとっさに身を隠す。ロンガヴィルはその場に一人きりだと思い込み、マリアへの恋の詩をうたいあげる。王とベローヌは隠れてそれをみている。
 さらに、貴族デュメインがそこにやってくる。ロンガヴィルもとっさに身を隠す。デュメインはその場に一人きりだと思い込み、侍女キャサリンへの恋の詩をうたいあげる。残りの三人は隠れてそれを見ている。
 ロンガヴィルはデュメインの前に姿を表し、自分も恋の病に苦しんでいると述べる。そこにナバラ王が出てきて、二人が最初の誓いを破ったと叱責する。だが、そこにベローヌが出てきて、それは王も同じだという。
 この時点では、最初に隠れたベローヌだけは、恋をして誓いを破ったことが露見していない。だが、そこにジャケネッタがやって来て、ベローヌに手紙を渡す。ロザラインへの彼自身の恋文を返しに来たのだ。
 べローヌはその恋文を受け取り、すぐに破る。デュメインは不審に思って、破られた手紙を見てみる。切れ端には、ベローヌの名前がある。かくして、四人とも恋をして、誓いを破っていたことが判明する。四人はもはや誓いを捨てて、恋を成就させようと決める。

 次のシーンで、ナバラ王と貴族たちはフランス王女と侍女たちに本格的にアプローチを始める。彼らはいたずらなモスクワっ子の変装で、彼女たちを訪れようとする。
 彼女たちはそのことを知ったので、彼らをからかうことにする。まず、みな仮面をつけて、それぞれ自分自身の服装のしるしを互いに交換する。よって、貴族たちは自身のお気に入りの女性を他の女性と取り違える可能性がでてくる。
 貴族たちがモスクワっ子の格好で、彼女たちのもとにやってくる。実際に、それぞれの貴族がお気に入りの女性と間違えて、別の女性にアプローチし、愛を告白してしまう。彼らはそこから立ち去る。彼女たちは変装を解く。
 貴族たちは変装を解いて、再び彼女たちを訪ねる。彼女たちは彼らをからかう。貴族らは再び侍女たちに愛を告白する。彼らは自分が本気だという。
 これにたいし、彼女たちはさきほど変装しているときに、互いのしるしを交換していたことを明らかにする。よって、貴族たちはさきほど、告白相手を間違えていたことを知らされる。町型相手に、恋の約束をしていたのだ。
 その後、9人の人物による劇が始まる。それに出演していたコスタードは、アルマドがジャケネッタを妊娠させたことを明かし、決闘を挑む。
 そこに、フランスから王への伝令がと届く。フランス王が没した、と。劇は中断され、王女の一行は帰国の準備を始める。
 ナバラ王や貴族たちは、彼女たちとの恋を成就させようとくいさがる。フランス王女は、1年間、父の喪に服すという。ナバラ王が同様にするなら、来年、彼と結婚しよう、と返答する。
 三人の侍女も貴族たちに同じ返答をする。王と貴族たちはそれに同意し、守ると誓う。
 そこにアルマドがでてきて、ジャケネッタと3年間一緒にいることを誓ったと発表する。劇が再開され、最後まで行われる。

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シェイクスピア『恋の骨折り損』松岡 和子訳、筑摩書房、2008年

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