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シェイクスピアの『冬物語』

『冬物語』はイギリスの代表的な劇作家シェイクスピアの晩年の作品。1609年頃に制作された。以下では、あらすじを紹介する。

『冬物語』(The Winter’s Tale )のあらすじ

 舞台はイタリアのシチリアである。シチリア王レオンテスのもとに、親友のボヘミア王ポリクセネスの宮廷に数カ月間滞在している。ポリクセネスはそろそろ帰国せねばならないという。
 レオンテスは彼に滞在延長を勧めるが、断られる。だが、妊娠中の妻ハーマイオニーが彼にえれを勧めると、今度は受け入れられる。
 レオンテスはポリクセネスとハーマイオニーの仲が良さをみて、二人が不倫関係にあるのではないかと疑い始める。レオンテスとハーマイオニーの間にはマミリウスという息子がいるが、マミリウスが本当に自分の息子なのか疑うようになる。
 レオンテスは猜疑心を深めていく。ついに、貴族カミロを呼び出し、ポリクセネスを暗殺するよう命じる。
 カミロは一人になり、思い悩む。ポリクセネスとハーマイオニーが不倫しているとは思えない。そこで、カミロはこの事態をポリクセネスに伝えるこtにする。
 ポリクセネスはそれを聞いて、驚く。自分の身の危険を感じるとともに、カミロのみの危険も察する。そこで、ポリクセネスはカミロもボヘミアにつれていくことにし、シチリアを脱出する。
 その頃、レオンテスはハーマイオニーのもとに来る。ポリクセネスらの脱出のニュースが伝わる。レオンテスはこれが二人の不倫の証拠だと革新する。ハーマイオニーを不倫で避難する。妊娠中の子供は自分の子供ではないともいう。
 ハーマイオニーは反論する。だが、レオンテスは聞く耳を持たない。周囲の反対をおしきって、ハーマイオニーを投獄する。不倫疑惑を裏付けるために、ギリシャのデルフォイの神託を受けてくるよう、従者に命じる。
 ハーマイオニーの友人パウリナがハーマイオニーの牢獄を訪れる。ハーマイオニーが女の子を産んだことを知る。パウリナはこれをチャンスとみた。レオンテスがこの赤ちゃんをみれば、考えを改めるかもしれない、と。
 パウリナは赤子をレオンテスのもとへ連れて来る。だが、レオンテスは赤子を見てもハーマイオニーの不倫を確信したままであり、怒りが静まらない。この赤子は他人の子である、と。不倫の罰として、赤子を遠い地に捨て去るよう、パウリナの夫アンティゴノスに命じる。 アンティゴノスは赤子を連れて旅立つ。
 ハーマイオニーの裁判が行われる。デルフォイの神託がレオンテスのもとに届く。ハーマイオニーとポリクセネスは無実だとされる。カミロも正しい。さらに、レオンテスは失った娘が見つかるまでは跡継ぎをえられない、と。だがレオンテスは信託を信じず、有罪判決を下す。
 そこに、息子マミリウスが急死したという知らせが届く。レオンテスはかくして跡継ぎを失う。ハーマイオニーはそのニュースで卒倒し、まもなく没する。レオンテスは自分の過ちに気づき、悲嘆に暮れる。
 アンティゴノスはボヘミアの海岸にやってくる。夢にハーマイオニーが現れて、赤子をペルディタと名付け、その身分が分かるような品物を身につけあせよという。アンティゴノスはそれに従い、赤子を置き去りにする。
 アンティゴノスは帰路で熊に襲われて死ぬ。赤子は地元の羊飼いに育てられる。

 それから、16年が経つ。レオンテスは後悔の日々を送っている。ポリクセネスはレオンテスの罪を赦していない。カミロはシチリアに帰りたいと重い、ポリクセネスに頼むが、断られる。
 ペルディタは羊飼いのもとで育つ。ポリクセネスの息子フロリゼルは羊飼いのもとをたびたび訪れている。フロリゼルとペルディタは恋に落ちる。

 村で祭りが催される。フロリゼルがこれに参加する。ポリクセネスとカミロらは変装してこれに参加し、フロリゼルの最近の様子を確認しようとする。
 ポリクセネスはフロリゼルが羊飼いの娘(ペルディタ)と無断で結婚しようとしていることを知る。激怒し、フロリゼルの結婚を破談にしようとして、立ち去る。
 だが、フロリゼルはペルディタとの結婚をあきらめない。カミロはこれをチャンスとみる。フロリゼルたちに、シチリアに逃れるよう提案する。そうすることで、カミロはポリクセネスが彼らを追ってシチリアにいくので、自分もシチリアに帰れると思ったのだ。
 フロリゼルとペルディタはその提案に同意し、シチリアに向かう。そのために、村のごろつきと衣服を交換するなどして、シチリアへの駆け落ちの準備をし、実行する。ペルディタの育ての親の羊飼いらもシチリアに向かう。
 シチリアのレオンテスはいまも後悔の日々を送っている。周囲からは、跡継ぎもいないので再婚するよう促されている。だが、パウリナはかつての過ちゆえに、再婚しないよう促している。
 レオンテスの宮廷に、フロリゼルとペルディタがやってくる。フロリゼルは父のボヘミア王ポリクセネスの公式使節だと嘘をついて、やってくる。レオンテスは親友のポリクセネスへの暗殺未遂をも後悔していた。そのため、その息子を歓迎する。
 そのとき、ポリクセネスが駆け落ちした息子と羊飼いの娘を追って、シチリアにやってきたという知らせが宮廷に入る。フロリゼルは嘘を謝罪し、真実を話す。そのうえで、レオンテスに助けを求める。レオンテスはポリクセネスを説得すると約束する。そこに、ポリクセネスがやってくる。
 その頃、ペルディタを育てた羊飼いから、ペルディタのこれまでの経緯を知る。彼女がレオンテスの娘である証拠も示される。そのため、レオンテスの娘がシチリアに帰ってきたという事実が認識される。レオンテスらは歓喜する。ポリクセネスは息子の花嫁候補がレオンテスの娘だと認識する。わだかまりが解消される。

 レオンテスやポリクセネス、フロリゼルとペルディタ、パウリナらは、パウリナの家を訪れる。そこには、亡きハーマイオニーの像がつくられていた。
 ハーマイオニーの像はあまりに生き生きとしていたので、レオンテスはそれを見て驚く。パウリナはさらに彼らが驚くだろうという。パウリナが像に「目覚めよ」と叫ぶ。すると、像が生き返る。ハーマイオニーが生き返ったのだ。
 ハーマイオニーは夫と娘との再会を喜ぶ。一行はこの失われた時間になにがあったのか、それぞれ語り合う。

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シェイクスピア『冬物語』桒山 智成訳, 岩波書店, 2023

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