『から騒ぎ』はイギリスの代表的な劇作家シェイクスピアの喜劇作品である。16世紀末に制作された。この記事では、あらすじを紹介する。
『から騒ぎ』(Much Ado About Nothing)のあらすじ
物語の舞台はイタリアのメッシーナである。メッシーナの貴族は愛娘のヒロ、兄のアントニオ、その娘(よって、レオナートの姪)のベアトリスとともに住んでいる。この物語は、ヒロとベアトリスの結婚をめぐって展開される。
レオナートの邸宅に、彼の友人たちがやってくる。彼らはちょうど戦争が終わって、帰ってきたところだ。レオナートの親友のドン・ペドロ、その私生児のドン・ジョン、貴族のクローディオとベネディクである。
クローディオはレオナートの娘ヒロを見て、恋に落ちる。そのことを、友人ベネディックに告げる。ベネディックはそのことを、ドン・ペドロに教える。
ドン・ペドロはクローディオの恋を手伝ってやろうと考える。その夜、仮面舞踏会が開かれることになっていた。そこで、ドン・ペドロは仮想してクローディオになりすまし、ヒロの愛を勝ち取ろうと計画する。そうすれば、クローディオとヒロは相思相愛になる、と。
ベネディックはそのような恋愛沙汰をばからしいと笑う。だが、ドン・ペドロはベネディックもすぐに恋愛することになるという。
レオナートの兄アントニオは、クローディオの恋について知り、レオナートに教える。
他方、ドン・ジョンとその子分のボラティオもまたクローディオの恋とドン・ペドロの計画を知る。ドン・ジョンは意地悪い人物であり、その計画を邪魔しようとする。
仮面舞踏会が開かれる。ドン・ペドロは計画通りに、クローディオに扮装して、ヒロにプロポーズする。
その頃、ドン・ジョンはこの計画を邪魔しようとして、クローディオに嘘の情報を教える。ドン・ペドロがヒロを自分のものにしようとしている、と。クローディオはこれを聞いて当惑する。
そこに、ドン・ペドロがやってくる。ヒロがクローディオとの結婚を承諾した、と。結婚式は1週間後に予定される。ドン・ジョンとボラティオはこの結婚を台無しにさせるような計画を密かに立てる。
他方で、ドン・ペドロはこの結婚式までの間に、ベアトリスとベネディックも結婚させようと、ほかの参加者に提案する。この二人は会えばいつもお互いをからかいあっていた。この仮面舞踏会でもそうだった。だが、周囲からすれば、お似合いのカップルだった。
ドン・ペドロたちはまず、ベネディックがベアトリスに恋するよう仕向ける。ベアトリスがベネディックに恋しているという噂を流布した。ベネディックはそれを真実だと信じ、その気になる。
同時に、ドン・ペドロたちは女性陣に依頼して、ベアトリスにも同様の方法をとった。ベアトリスもまた、ベネディックにたいしてその気になる。
かくして、クローディオとヒロのカップルと、ベアトリスとベネディックのカップルが成立した、かのように思われた。
このタイミングで、ドン・ジョンはクローディオの結婚を邪魔する計画を実行した。暗くしたヒロの部屋で、ヒロの侍女マーガレットとボラティオに性行為させ、それをドン・ペドロたちに目撃させたのだ。
部屋が暗いため、ドン・ペドロとクローディオはマーガレットをヒロだと誤認した。よって、ヒロが不貞を働いたと信じ込んでしまう。
結婚式の当日になる。クローディオとヒロは神父によって、結婚の誓いを求められる。だが、クローディオは出席者の面前で、ヒロが不貞を働いたと突然宣言し、ヒロを辱める。ヒロは気が動転し、気絶する。
結婚式は台無しになる。ドン・ジョンの計画が成功したのだ。
ヒロの父レオナートはどうすべきかと悩む。神父はヒロが不貞行為をしていないのではと思って、事実を確かめるよう促す。その間、ヒロが死んだことにしよう、と。レオナートは同意し、そうする。
ベアトリスはクローディオの「仕打ち」に激怒する。ベネディックにたいし、クローディオに決闘して復讐するよう求める。ベネディックは友人のクローディオとの戦いを当初断ったが、同意することにする。
その頃、ボラティオは町中で、クローディオとヒロの結婚を台無しにさせた自身の計画を自慢げに語っていた。夜警がそれを知り、彼を逮捕する。捜査を開始する。
ベネディックはクローディオらに決闘を申し込む。クローディオとドン・ペドロはベネディックが真剣だと知り、困惑する。
ドン・ペロロたちはどうすべきか悩んでいるところに、夜警がボラティオらを連行してやってくる。ボラティオが罪を自白する。ドン・ジョンは町から逃亡する。
ドン・ペドロらは自分たちの誤りを知る。ヒロが本当に無実であることが周知される。彼女の死を悼む声が広がる。クローディオは悲しみ、自分の罪の重さを漢字、レオナートに謝罪しにいく。
レオナートはクローディオにたいし、ヒロの無実を町中で周知し、ヒロの墓参りをして、自身の姪と結婚するなら、罪を赦すという。ドン・ペドロとクローディオが墓参りに行く。
クローディオはレオナートの姪との結婚式にいく。そこには、仮面をつけた花嫁が待っている。仮面を外すと、彼女がヒロ本人だと分かる。クローディオは歓喜する。
同時に、ベネディックはベアトリスに結婚を申し入れ、結婚を決める。かくして、二組の結婚が決まる。
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おすすめ参考文献
シェイクスピア『から騒ぎ』喜志 哲雄訳、岩波書店、2020